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【コメディー】失ったおもちゃのかけら
【お題:おもちゃ、虫アミ、かけら テーマ:努力の方向音痴 文字数:500字】
12月末のある日、公園の茂みに虫アミを持って隠れる小学生がいた。
冬場に虫取りなんて変な奴だな。
と思ったら、おれの友達だった。
「おいマナト、何して――」
「シッ……静かに。奴に逃げられる」
「……何してんだ、こんな所で?」
「見てわからない? サンタさんを探してるんだよ」
わかるわけねえだろ。
呆れるおれに、だがマナトは真剣な表情で言う。
「知ってる? サンタさんは良い子にしかプレゼントをくれないんだ。つまりぼくは絶対貰えない。おもちゃを手に入れるには強奪するしかないのさ」
「自覚あるならまず自分の行動を改めろよ」
「それは無理だね。それに……ぼくがほしいおもちゃは、お店じゃ売ってない」
「というと?」
「大切なおもちゃを失っちゃってね。……どうしてもそれを取り戻したいんだ」
その言葉には想像以上の重みがあった。
バカな作戦のはずなのに、からかうことができない。
「サンタさんは魔法が使えるんでしょ? どんなおもちゃだって創り出せる。だから」
そして、おれの目をまっすぐ見つめて。
「昨日なくしたジグソーパズルのラスト1ピースを取り戻すまでぼくは諦めない!」
「いや探せよ! 家の中!」
翌日、ピースは無事絨毯の下で見つかったそうな。




