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【恋愛】んなわけないだろ
【お題:昼、告白、トイレ テーマ:辟易 文字数:500字】
「好きだ! 付き合ってください!」
昼休み、窓の外から聞こえた声に、お弁当の箸を止める。
ここは普段は生徒の来ない教科棟。どうやら誰かの告白場面に遭遇してしまったらしい。
外の様子は見えない。けど、ついつい耳を傾けてしまう。
「……ごめんなさい」
「……え?」
「私、他に好きな人がいるの。だから……ごめんなさい!」
相手の声はすぐに分かった。同じクラスの永田さんだ。
明るくて、かわいくて、誰にでも気配りできる優しい子。僕も何度か話しかけられたことがある。
やがて永田さんの走り去る足音と、男子生徒のとぼとぼ歩く音が遠のいていく。
辺りは再び静寂に包まれた。
ふーん……。永田さん、他に好きな人いるんだ。
……。
………………。
「…………あれ? 僕……今、何考えてた?」
自分の浅はかさに辟易する。
絶対にあり得ないってわかってるのに。
その好きな人とは誰か。……ちょっと期待してしまった自分が心底嫌になる。
「バカだな僕……現実はラブコメじゃないのにさ」
単純思考。身の程知らず。ただ後で傷つくだけの自惚れ。
……なのに膨れ上がる妄想は、なぜか止めることができなくて。
自分で自分にげんなりしつつ、トイレの個室、一人お弁当をもそもそ食べる。




