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【青春】天才の主役、秀才の脇役
【お題:陸、リボン、最速の脇役 テーマ:番狂わせ 文字数:492字】
青空の下、陸上トラックのスタート地点に立つ。
横に並ぶは8人のライバル達。
その第4レーン、大会の主役が一際喝采を浴びている。
小河マキ。私の中学時代の親友。
そして今は、他校の優勝候補だ。
私は端っこのレーンから、観客に手を振る彼女を見た。
自信に満ちた、どこか余裕な笑顔。
少なくとも私の事なんて眼中にないって顔だ。
ここに来る前、廊下で聞こえた会話が脳裏をよぎる。
『やっぱ今年もマキが主役だよねぇ』
『当たり前でしょ。県での優勝なんて余裕よ』
『さすがですマキ先輩!』
『三連覇期待してます!』
かつての親友は遠く離れた存在になっていて。
私の姿に彼女は気づきもしなかった。
……でもね、マキ。主役が必ず1番になるとは限らないんだよ。
あなたは私の努力量を知らない。この三年間すべて注ぎ込んだ、私の100m。
――それを今から見せてあげる。
『位置について』
身体を軽くほぐして、踏切り板に足を置く。
今日の私は調子がいい。
なぜだか、全く負ける気がしないんだ。
重心を落として、静かにそのときを待つ。
額に捲いたリボンが風に揺れる。
『よーい』
全神経を集中させて。
パン! とピストル音が鳴ると同時。
地を蹴り、一気に加速した。




