76/100
【日常】リアル変身魔法
【お題:化粧、工場、ぬくぬく テーマ:豹変 文字数:495字】
「おい姉貴、いつまで寝てんだ。掃除できねえだろが」
弟が肩に掃除機を担いで私を見下ろしてきた。
ゴミを見る目だ。でも私は構わず布団をかぶる。
「ふぁ~……いいじゃん、もう少しぬくぬくさせてよ~」
「黙れ起きろ。あとさっさと飯食え、洗い物も進まねえから」
「……あんた、小言がお母さんそっくりになってきたね」
「おめえの主婦力――てか生活力が皆無なおかげでな!」
うるさいなぁ。大体こっちは平日毎日激務なんだから、休日に動く気力なんてありませ~ん。
工場勤務、まじブラック。
「思考が完全におっさんじゃねえか……。てかいいのか? 今日友達と出かける用事あるとか言ってたけど」
「え~? …………あ」
寝転がりながらスマホの日付を確認して、固まる。
しまった、すっかり忘れてた!
「ちょ、それ早く言ってよ!」
ベットから飛び起き猛然と準備を始める。
顔洗って髪とかして着替えて化粧して、その他もろもろを秒で仕上げる。
時間は……よし、何とか間に合いそう!
「んじゃ、いってきま~す♪」
「……なんつーか、もはや詐欺だよな、一種の」
玄関を出る直前、姿見には顔を引きつらせる弟と、
スウェット姿から一変、外出モードに着飾った私が映っていた。




