【ASMR】図書館の音色に酔いしれて
【お題:音、彗星、城 テーマ:生活音の魅力 文字数:500字】
※目を閉じて、情景を想像し、聞こえてくる音をお楽しみください。
……サァー……………………
雨が、降っている。
窓の向こう側を雨水が伝い、アスファルトに当たった雨粒が小さくはじける。
ここは本のお城――図書館だ。
外の雑音を、雨音が遮断してくれるから、
今日はいつにも増して、ひっそりとしている。
(ダメだ……眠い…………)
動物の飼い方の本から、宇宙を駆ける彗星の本まで。ここには無数の知識が眠っている。
でも私を魅了するのは、それだけじゃない。
目を閉じれば、
――ひろっ、ひろっ……
と、本をめくる音が、空気に染みわたり、
ときおり、
――カサカサッ
と、紙と指がこすれ合う音が響いて、
――カリカリ、カリッ
と、シャープペンの音が旋律を奏でる。
――カタタン、カタタン
木製の机を、爪でタッピングする音。
――チー……
ゆっくりと、ファスナーを開ける音。
――…………んっ
隣の人が、小さく咳払いする音。
どんなクラシックよりも、心地よい酩酊感をもたらす、清楚で知的なリズム。
〝静寂〟という音に包まれながら、まどろみの奥底へ。
私の意識をやさしく誘う。
(もう、ムリ……。試験勉強なんて、どうでも、いい、や……)
不真面目だと分かっていても、睡魔には抗えないから。
私は机に腕枕を作って、夢の世界へと旅立った。




