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【コメディー】最小言語数による最大攻撃力
【お題:アダム、教室、全財産 テーマ:威圧感 文字数:499字】
「旧約聖書によれば、かつてアダムとイヴは楽園の林檎を食し、以降人間には知恵がついたとされている」
最近うちの教室でも詭弁論者と名高い姉が唐突に語りだした。
「それが良きことか悪しきことか、意見は割れるであろう。しかし人間が知恵を持つことで学問が生まれ、我々に価値ある知見をもたらしたことは紛れもない事実だ」
姉の熱弁に、私は黙って耳を傾ける。
あんたみたいなバカが生まれたのも事実だけどね、とはあえて口にしない。
「例えば確率論。計算によれば仮に一回の成功率が5%としても、100回連続で行えば一度も成功しない確率は1%未満――すなわち絶無!
また人間は失敗から学ぶ生き物ゆえに、回を重ねれば成功率が上がるのは自然の道理!」
演説も佳境に入ったか、姉は大仰に両手を広げ、
「つまりこの100回の失敗は無駄にあらず、次の101回目の成功への糧となるのよっ! だから美優!」
人目も憚らずに土下座した。
――クレーンゲームの筐体の前で。
「次こそは絶対取るからもう百円だけ貸してくださいお願いしま――」
「は?」
…………。
「そこをなんと――」
「は?」
――姉、撃沈。
ゲームセンターで全財産を擦った姉は絶望に嘆いたのだった。ざまぁ。
美優と姉 その3




