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【青春】強がり
【お題:性格、空港 テーマ:遠ざかる背中 文字数:470字】
「……行っちまったな、アイツ」
空港の窓から、飛び立つ飛行機を見上げて。
嬉しそうなのに、どこか悲しそうな作り笑いで、拓斗はポツリと呟いた。
「まさか、本当に海外公演が決まるとはな。英語もロクにしゃべれねえくせに。あのバカはホント……」
「……心配してるのか? 蓮のこと」
「まさか。あの負けん気でクソ図太い性格なら、どこ行っても絶対成功するよ。10年も隣にいた俺が言うんだ、間違いねえ」
まるで自分のことのように、誇らしげに言う拓斗の表情。
なのに……なぜだか僕の胸が締めつけられる。
「……なぁ拓斗」
「ん?」
「おまえは、その……よかったのか?」
僕の質問に、拓斗は数秒、口を閉ざすと。
何言ってんだよ、なんて、自嘲気味に笑った。
「俺は、アイツほど辛抱強くなかった。当然の結果じゃねえか。悔いなんかねえよ」
「……だったら」
「ま、俺にバンドは向いてなかったって事だな。収まるべき所に収まったっつーか」
「だったら! …………なんで、泣いてるんだよ」
「…………え?」
かつて無名だった二人組の片割れは、ひそかに涙を流していた。
その涙の重さを、僕は量ることができなかった。




