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【ファンタジー】箱庭入りのわんぱく少女

【お題:池、窓 テーマ:春の喜び 文字数:500字】

 池の畔が色どりを取り戻していた。

 冬の灰色から七彩へ。草花が芽吹き、蝶が舞い、精霊達が歌をうたう。

 その様子を、少女はただ窓から眺めるばかりだった。


「もう春かぁ……」


 窓縁に両腕で頬杖をついて、足をぶらぶら不規則に揺らす。

 それを見かねて、一人の精霊が少女に声をかけた。


「遊びに行かないのかい?」

「だって母様に止められてるもの。精霊と話せる異端児は外に出ちゃいけません、って」


 ムッと頬を膨らませて、少女は精霊をにらみつける。

「あなただって知ってるでしょ?」と視線だけで訴える。


「その割に退屈そうだね。普段のキミらしくない」

「……何が言いたいの?」

「異端児なら異端を楽しもうよってこと。親の言いなりなんて凡庸な子がすることだよ」

「……」


 少女は少しだけ無言を挟むと、「それもそうね」と立ち上がった。

 吹っ切れたようにため息を吐いて、フフッと微笑む。


「楽しい心を殺してまで周りに合わせるなんて、バカみたい」

「だよね。異端児っぽくないし」

「あら、じゃあ異端児っぽく弾けた方がいい?」


 少女はくすっと笑うと、窓を開け、裸足のまま飛び出した。

 精霊達の歌に合わせて、彼女の足取りは、陽気なケルト民謡のようなリズムを刻んでいた。

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