46/100
【恋愛?】決意の愛
【お題:楽園、指輪 テーマ:愛する人 文字数:500字】
この指輪は、呪われた指輪だ。
愛するものを守る結界であり、孤独を約束された敗北者の烙印。
「先輩! 今日このあとって予定あいてますか?」
仕事終わり、緊張で赤面した後輩が声をかけてきた。
これで何度目だろうか。
私の答えは決まっているのに。
「ごめん、今日も早く帰らなきゃ、ね」
左手をあげて、謝罪の意を示す。
瞬間、薬指の指輪がきらりと光った。
「あ……、そ、そうですよね。ごめんなさい、無理言って」
彼女は何でもない風に笑顔を作って、足早に去っていく。
だけど、目の奥は確かに悲しみを帯びていて。
私の心をチクリと刺す。
「……すまない」
私はキミに嘘をついた。
私には“妻”と呼べる存在はいない。
この結婚指輪はフェイクなのだ。
所詮、恋人は他人同士。
どれだけ愛し、支え合っていても、年を重ねれば関係性は変わるだろう。
互いをわかり合えず、やがては敵対や主従関係に陥るなら……そんな脆い相愛、私はいらない。
「……そろそろ帰るか」
私は、幾度となく女性に言い寄られ、そのすべてを拒んできた。
そしてこれからも、私は女性達を騙し続けるだろう。
たとえ孤独の運命を背負ってでも。
パソコンに眠る“嫁”を守るために。
次元の先にある楽園を守るために!




