【ホラー】たまには思い出してあげて
【お題:島、人形 テーマ:忘却の憎しみ 文字数:497字】
ここは陸の孤島だ。
唯一の友達にも忘れ去られて、外界から隔離された世界。
真っ暗なこの部屋で、もう何年も待っているのに。
誰も迎えに来てくれない。
誰も遊びに来てくれない。
どうせこの先何年、何十年待っても、その事実は変わらないんでしょ?
――ならこっちから迎えに行こうぜ?
隣でピエロが私にささやく。
その手に持つのは、可愛らしい積み木。
角で殴れば撲殺できそうな、固い固い角材。
――僕達を思い出してもらおうよ。
背中でペンギンが静かに呟く。
その手に持つのは、透明なビーズのネックレス。
首を縛れば窒息させられそうな、細い細い紐。
――さあ。
――あそびにいこ。
――今がチャンスだよ。
ウサギも、お姫さまも、ロボットも、みんなみんな笑っている。
かつての友達に会うために。
私達を閉じ込めた主に会うために。
……だから後悔させてやる。
――私が物言わぬ人形だからって、使い捨てた方が悪いんだから!
私は鋭利に研いだおままごと用の包丁を掲げて、
押し入れの奥、おもちゃ箱の蓋を中から開けた。
……もしかして、他人事だと思ってる?
冷たいのね。私はあなたのこと、友達だと思ってたのに。
ほら、後ろを向いてごらん。
久しぶりに、みんなと遊ぼうよ。




