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【恋愛】振り払えぬ妄想

【お題:夜空、光 テーマ:熱病 文字数:481字】

 満点の星空の中、白い息を吐きながら走る。

 気分がいい。澄んだ空気が肺を満たして、思考もクリアになる。

 好きな曲のリズムに乗せて、私の足もどんどんと前へ進んで。


 なのに、心の中だけがモヤモヤする。


 ……忘れようと思ってジョギングを始めたのに。


 イヤホンから流れる歌は、万人受けする恋愛ソングで。

 なのに何故だが、一人の顔しか浮かばない。 

 歌詞に出てくる、何気ない仕草とか、台詞とか、笑顔とか。

 全部バカなアイツと重なってしまう。


 ――アイツは今頃何考えてるのかな。

 ――私のこと、本当はどう思ってんのかな。


 私の意志に反して、余計な思考がぐるぐる回って。

 熱っぽくなった頬に、冷たい風が吹きつけた。


 途端、ふと冷静に戻り、また顔が熱くなる。


「……なに考えてんだろ、私」


 夜空を見上げると、ひときわ輝く星を見つけた。

 どれだけ走っても決して届かない、その光に向かって。

 私の足が加速する。


 ……バカなのは、私の方じゃないか。

 ホント、バカみたいだ。

 バカだバカだバカだっ!

 思わず「わぁぁっ!」と叫びたくなる。


「あーもう!」


 なんて、恥ずかしさをかき消すように呟いて。

 光る一番星を見上げながら、また加速する。

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