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【コメディー】〇〇泥棒

【お題:晴れ、金庫 テーマ:大切なもの 文字数500字】

『晴れた日の夜、あなたにとって命の次に大切なものを頂く』


 ある日、国王の元へ一通の犯行予告が届いた。


 それを見た王は真っ先に金庫室を封鎖した。 

 しかし夜が明けても、財産は盗まれなかった。


「……富では、ない? では『命の次に大切なもの』とは、何だ?」

 

 王は改めて考えた。

 いつ来るかもわからぬ怪盗を退けるために。

 地位か? と疑えば、改憲して自身を王の座に永久即位させた。

 土地か? と疑えば、保有地に強固な要塞を乱立させた。

 人の愛か? と疑えば、


「くだらん。そんなものはとうに捨てたわ!」


 歯牙にもかけなかった。


 王は考え続けた。名声か、娯楽か、酒か、権力か?

 思いつく限りの『大切なもの』を、王は死守しようとした。

 しかし怪盗は現れない。


「では何だ……! 大切なものとは何なのだ!?」


 次第に王はイライラが募り、夜も眠れぬ日が続いた。


「大体晴れた日の夜とは一体いつなのだ! これではいつまでたっても気が休まらんぞ!」


 だが王は知らない。

 この時、すでに犯行は成立していたのだ。


 怪盗が盗んだもの。

 それは富でも、名声でも、地位でも、人の愛でもなく、

 

「いつまで待たせる気だ怪盗め! 早く出てこんか!」


 それらを満足に堪能するための、『時間』だった。

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