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【文学もどき】窓のカエル
【お題:台風、カエル テーマ:現代人 文字数:422字】
台風の日。
窓の外に一匹のカエルがへばりついていた。
雨のつぶてがバチバチと窓を叩き、風が外を暴れまわる。それでもカエルは、飛ばされまいと必死でしがみついていた。
それを私は、部屋の中からぼんやりと見つめる。
「……たくましいのね、あなた」
カエルは答えない。窓越しだから聞こえていないのかもだけど。
試しにカエルの気持ちで考えてみる。
外から見れば、透明なガラスの向こうは快適な世界だろう。
うらやましくて、涙が出てきて。
そこに座っているのは、ぼけっとアイスを食べている私。
そう思うと、少し残酷な気分になる。
どのみち窓を開けたりはしないけど。
しばらくして、少し席を外してから戻ってみると。
カエルはいなくなっていた。
嵐に負けたか、それとも別の居場所を見つけたか。
私に知る術はない。
私にとって台風は、学校が休みの日だ。
ただそれだけ。命の危機を感じたことは一度もない。
「……家の中の私、台風を知らず、ってね」
それがいいことなのか、悪いことなのか。
私には分からない。




