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【日常】雨宿り
【お題:雨、話す、本 テーマ:なんか台無し 文字数:489字】
雨宿りのつもりで公園のベンチに駆け込んだら。
そこには先客がいた。
「あの……隣いいですか?」
「…………」
服や顔をハンカチで拭きながら、僕は先客に声をかけた。
返事はかえってこない。
だけど、一人で立っているのも何だかおかしい気がして。
彼女の反対側、ベンチの端っこにちょこんと腰を下ろす。
静かに読書にふける、眼鏡をかけた知的な女性。
時折髪を小さくかき上げる仕草が、妖艶な大人の雰囲気を醸し出していて。
僕はいつしか、彼女に見とれていた。
「雨、止みませんね」
「…………」
やっぱり彼女は無反応だった。
ジッと本を見つめて、世界に入り込んでいる。
ひょっとしたら僕や雨にも気づいてないんじゃないかと思うほどに。
長雨がしとしとと降り続く。
そこはまるで、小さな檻の中のようだった。
二人で閉じ込められたその空間は、一定の雨音だけが響き。
不思議と、普段より静かに感じられる。
「何を読んでいるんですか?」
僕が何気なく声をかけると、ようやく彼女は顔を上げて。
「え!? あ、あの……!」と人見知りのように狼狽えていた。
そして慌てたように文庫本を閉じる。
ふと目に入ったのだけど。
彼女の読む本は、どぎついBL本だった。




