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八男って、それはないでしょう!   作者: Y.A
みそっかす編

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第66話 未成年?

新作「誰か、前世が凄腕の機動兵器操縦者である私に平穏を!」が連載中です。

読んでください!

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同じくロボット物です!

「(仮題)異世界で死にかけた少年と入れ替わった独身アラフィフサラリーマン、スキルが『絶対無敵ロボ アポロンカイザー』だった」

https://ncode.syosetu.com/n2281iq/

「ブランタークさんは本当にお酒が好きだよねぇ。その日に用事があって王都に行くのなら、王都のお店で限定販売されるお酒を買ってきてくれだなんて……」




 ボクもたまに王都に用事があって行くこともあるんだけど、ヴェルに『瞬間移動』で送ってもらおうとしたところで、たまたま屋敷に顔を出したブランタークさんからお使いを頼まれてしまった。

 なんでも、王都郊外にある有名な酒蔵の限定酒が数量限定で販売されるんだって。

 ブランタークさんが自分で買いに行った方が確実だと思うけど、忙しくて買いに行く時間がないからって、ボクが買いに行くことに。

 ボクはほとんどお酒を飲まないから、限定のお酒と普通のお酒の差がさっぱりわからないんだけど、頼まれたものは仕方がない。

 ブランタークさんから教えてもらった酒屋の前に到着すると、すでに数十人の人たちが並んでいた。


「この人たち、もしかして限定のお酒目当てなの?」


 まだ昼間なのに、お酒を求めてお店の前に並ぶなんて……。

 雇い主や奥さんに叱られないのかな?

 そんなことを考えつつ、ボクは最後尾に並んだ。


「限定品って、いくつあるのかな?」


 もし限定のお酒を買えなくても恨みっこなしって話になってるから、『絶対に手に入れるぞ!』って強い意志があるわけじゃないけどね。

 少し待っていると、店内から若い男性店員が出てきてボクたちに話しかけてきた。


「ヴィワール酒造『女神の雫』限定品の販売を始めます! 並んでいる順番に店内にどうぞ」


 女神の雫だって。

 いかにもな名前のお酒だけど、そんなに他のお酒と味が違うのものなのかな?

 どうせボクは飲まないから、一生わからないけどね。


「やったぁーーー!」


 ボクの前に並んでいた人が、お酒の瓶を頭上に掲げて喜んでいる。

 平日の昼間なのに、働かずにお酒を買って喜んでいる大人って……。


「(フリードリヒやエルザたちが、お酒を好きにならないといいなぁ……)


 ヴェルはお酒が好きじゃないから、そこまで心配していないけど。

 なお、リサの子供たちは……。

 そんなことを考えている間に、ボクの番がやってきた。

 限定品とはいえ、それなりの数があったみたいで無事に買えるみたい。


「女神の雫限定版をください」


 数量限定で一人一本しか買えないって聞いていたから、無事に買えそうでよかった。

 と思ったら……。


「ああ、お嬢ちゃん。未成年者にはお酒を売れないんだ」


「えっ?」


 いやいやいや! 

 こう見えてボクはもう二十歳を過ぎているから! 

 子供だって二人いるから!

 この店員さんはなにを言っているの?


「ボク、二十歳を超えているけど」


「またまた。どう見ても未成年者でしょう」

 

 店員さんは、ボクが成人しているとは微塵も思っていないの! 

 さすがに十五歳以下に見られたことなんて……たまにあるけど!

 ボクはこんなに大人の女性なのに、未成年者扱いは酷いと思う。


「お使いを頼まれていて、ボクが飲むお酒じゃないし」


「それを証明できないからね。成人した人か、成人した人が一緒じゃないと売れないな」


 子供がお父さんのお使いでお酒を買うなんてこと、よくある光景じゃない。

 それが駄目だなんて、なんて意識高い酒屋なんだろう。


「うちのオーナーのポリシーでね。子供にはお酒は売らないって。従業員である私もそれに逆らえないんだよ」


「へぇ……そんな方針なんだ。随分としっかりしている……って! だからボクは二十歳を過ぎてるから!」


 十五歳どころか、二十歳過ぎているボクが未成年にしか見えないなんて、失礼にもほどがあるでしょう!


「それこそ、証明できないですよ。あなたが成人しているなんて信じられません」


「子供も二人いるから!」


「はははっ、まさかぁ」


 本当だって! 

 ボクはバウマイスター辺境伯の妻の一人で、ちゃんと子供もいる大人だから!

 この場でボクの正体を口にするわけにいかず……どう言っても信じてもらえないなんて!


「そういうことなので、お嬢ちゃんにお酒を売れないんだよ。もう少し大人になってから利用してね」


「なっ!」


「そういうことなので、はい次の方。……ありがとうございます」


「……そっ、そんなぁーーー!」


 結局ボクは酒屋の店員に未成年と間違われて、お酒を売ってもらえなかった。

 こんなことってある?

 





「えっ? そんな理由で酒が買えなかったのか? 子供が親の使いで酒を買いに来ることだっであるだろうに、そこを否定するか? 変な酒蔵だな」


「だから平日のお昼から、いい大人が並んでお酒を買っていたんだ。あの酒屋は子供にお酒を売らないから」


「へえ、そんなにしっかりした酒蔵があるんだ。この世界にも、コンプライアンス意識のある酒蔵があるのか」


「相変わらず、ヴェルの言っていることが意味不明だな」


「子供にお酒を売らない。悪い酒蔵ではないと思います。子供がお酒を飲まないよう、厳密にルールを定めているのですから」


「エリーゼの言うとおり、いいことではあるけど、バウマイスター辺境伯の妻たちの中でもセクシーさが売りのボクが、未成年にしか見えないってどういうことだよぉーーー!」


「ルイーゼの売りが、セクシーさであった試しなんてないだろう」


「エルは失礼だな!」


「だってこの前、バウルブルクの冒険予備校に臨時講師として行ったら、生徒と間違われたじゃないか」


「うっ! それは……」


 それも失礼な話だよね。

 魔闘流を教える講師が急病でお休みだっていうから、急遽ボクが臨時講師を引き受けたのに、生徒と間違えるなんて。

 ボクもバウマイスター辺境伯領では結構知られた存在なのに、どうして間違えるかな?

 って生徒たちに聞いたら、『ルイーゼ様も二十歳を過ぎ、さすがにもっと大人になっているものだと思っていました』だってさ。

 とにかく、そんな理由でお酒が買えなかったのでブランタークさんに報告したら、『まあしゃあないか。人気過ぎて手に入らない想定もしていたし、他のルートもあるから』なんて言い出した。

 それなら、最初からボクに頼まなければいいのに……。


「というか、いつの間にそんなルールができてたんだ? 数ヵ月前はそんなルールなかったぞ。ただそれなら、ルイーゼの嬢ちゃんが酒を買えなかったのは仕方がない。一本だけかぁ」


「あーーーっ!」


 なんと、ブランタークさんがあのお酒の瓶を持っていた。


「ああ、これね。もし手に入らないと嫌だから、他の知り合いにも頼んでもいてさ。いやあ、保険はかけておくものだな」


「ぶーーー! ボクが恥をかいただけじゃないか!」


 他に並んでいた人たちに、セクシーなボクが子供だというイメージが刷り込まれてしまって、とんだ風評被害だよ。


「それは申し訳ない。並んでくれてありがとうな」


 そう言うと、ブランタークさんはボクに高級チョコレートをくれた。

 これ、稽古のあとに食べると美味しくて、疲れがよく取れるんだよねぇ……。


「おほん! ブランタークさんが無事にお酒を手に入れたのならいいけど、問題はいまだボクが度々未成年者に間違われることだよ」


 大人のレディーに対し失礼じゃないか。


「そうは言うけど、世の中には老けて見えて悩んでいる人もいるから」


「そういう人とバランスが取れているとも」


「イーナちゃん、ヴェル! だとしてもボクは、なにも救われてないよ!」


「ルイーゼって、お母さん似だから仕方ないんじゃあ……」


 確かにお母さんは今でも不気味なほど若く見えるけど、限度ってものがあるよ。

 ボクは若く見え過ぎ!


「とにかくこれからは、本格的に『セクシールイーゼ、大人の女計画』を進めていく予定だから」

 

 だってこのままだと、お婆ちゃんになっても未成年者に間違われてしまうかもしれないんだから。





「ヴェル、どうかな?」


「……えっ? なにか変わった?」


「おかしいなぁ……。大人の女性は、見えないところから努力しているって聞いたから、大人の下着を着けているのに……」


「いや、そうは言うけど、俺は『透視』ができるわけじゃないから。服の上からルイーゼがどんな下着を着けているのかなんてわからないよ」


「それもそうか。でも、『透視』魔法なんてあるんだ」


「あるみたいだけど、俺は使えない」


「じゃあ、今日の大人のナチュラルメイクはどうかな?」


「ルイーゼ、今お化粧しているの? 全然わからん。もの凄くナチュラルメイクだが、すっぴんの時となにも変わらないから、化粧代と化粧をする時間がもったいないのでは?」


「駄目かぁ……」


 イーナちゃんが、『大人の女性は、見えない ところで工夫するっ』て聞いたから、ベッケンバウアーさんの実家のランジェリーショップで購入した、ほとんど紐でできたセクシ―下着を着けてみたんだけど、やっぱり見えないと意味なかったか。

 というか、ヴェルだけじゃなくて誰も気がつかないし。

 大人の女性はお化粧をするからって、ボクもやってみたんだけど。

 派手なお化粧が嫌だからナチュラルメイクに挑戦したら、普段と全然変わらなくて、お化粧をしていることにすら気がついてもらえないという。


「服を替えたらどうだ? 大人っぽい服を着ていれば、さすがに大人に見られるのでは?」


「それもそうだね」


 ボクは急ぎ、バウルブルクにある『キャンディー洋品店』バウルブルク支店へと向かった。


「いらっしゃい、ルイーゼちゃん」


「あれ? キャンディーさん、今日はこっちなんだ?」


「最近支店が増えたから、定期的にチェックするだけで大変なのよ。それで、今日はなんの用事かしら?」


「ボクをセクシーな大人にして!」


 ボクは、王都の酒蔵にお酒を買いに行った時の話をキャンディーさんにした。


「それは災難だったわね」


「だから、ボクが大人に見えるセクシーな服をお願い」


「……うーーーん、可能な限り努力してみるけど……」


「えーーーっ! そこは、『私に任せてちょうだい』って言うところじゃないの?」


 キャンディーさんはファッションの専門家なんだから、ボクが大人の女性に見られるコーディネイトをしてくれるんじゃないの?


「ルイーゼちゃん以外の女性なら、任せてと太鼓判を押せるんだけど……。こういうことは正直に言わないといけないから」


「ううっ……。それでも可能な限りお願い」


「わかったわ」


 キャンディーさんは、ボクがセクシーな大人の女性に見える服を選んでくれた。

 早速それを試着してみると……。


「さすがはキャンディーさん、随分とセクシーに見えるよ」


 キャンディーさんは可能な限りって謙遜してたけど、鏡で見るボクはセクシーな女性そのものだった。

 少なくともボクにはそう見えているし、他のみんなも同じイメージを持つはずだ。


「はははっ、これでボクもセクシーな大人の女性の仲間入りだね」


 いい買い物をしちゃったな。

 早速ボクのセクシーさを証明しようと思っていたところ、再びブランタークさんがあの酒蔵で限定のお酒を購入しようとしている情報を掴んだ。


「ブランタークさん、ボクが買いに行ってあげるよ」


「しかし、ルイーゼの嬢ちゃんはなぁ……」


「安心して。ボクはセクシーな大人の女性に見える服を購入したし、メイクとかもキャンディーさんから習ってバッチリだから」


 わざわざ王都の酒蔵にまでわざわざ買い物に行くのは骨なんだけど、ボクを子供扱いした酒蔵の店員に認めさせるんだ。

 ボクが、セクシーな大人の女性だってことをね。


「そこまで言うのならお願いしようかな」


「というわけで、ヴェル。『瞬間移動』で送って」


「了解。しかしその酒蔵、限定酒の販売が頻繁過ぎて、全然限定じゃないという」


 ヴェルは相変わらず変なことを気にするなと思いつつ、ボクは因縁のある王都の酒蔵に向かい、やはり平日のお昼から並んでいる駄目な大人たちに混じって並んだ。

 すると、みんながボクを注目している。

 さすがは、キャンディーさんが選んだ大人の女性が着る服だね。


「ボクのあまりのセクシーさで、みんなの興味を惹いてしまったようだね。でもボクは人妻だから。おっと、限定酒の販売が始まるみたいだ」


 並んだ順に限定酒を購入していき、ついにボクの番になった。

 

「……」


「(へへん、だから言ったじゃないか。ボクは成人した人妻だって)限定酒をください」


「またあなたですか。だから未成年者は駄目ですよ」


「えーーーっ!」


 またも同じ店員から、限定酒は売れないと断られてしまった。


「ボクは本当に二十歳を超えているし、子供だって二人いる。なにより、今日の服装とメイクを見ればわかるでしょ?」


 ボクは思いっきりセクシーな大人になっているのに、まだ未成年に見えるだなんて、この店員の目は悪すぎなんじゃないかって思う。


「えっ? セクシー?」


「そうだよ。ボクほどセクシーな女性はそういないって」


「……あはははっ、頑張っておめかししたんだね。でも、お酒を未成年に売るとオーナーに叱られてしまうから、成人したら並んで購入してね。はい、次の方」


「……」


 そんな……。

 時間とお金を使ってセクシーな女性になったはずなのに、どうしてあの店員には通じないんだろう?

 ボクはショックのあまり、酒蔵の前で呆然としてしまった。


「くださいな」


「毎度アリ」


「って! ヴェル! そこは愛する妻であるボクを慰めるのが常識でしょう!」


 ボクを王都の酒蔵まで『瞬間移動』で連れて来てくれたことには感謝するけど、これだけ努力しても子供扱いされた妻を慰めるのが、夫として大切な役割だと思うんだ。

 それなのに、お酒なんて買っちゃって。


「ヴェルって、お酒がそんなに好きだったの?」


「いや、この限定酒は貴重品……かどうかはわからないけど、あとで貴重な食材とかとの交換に使えないかなって」


「ああ、そういう……」


 ヴェルは本当にブレないよね。

 貴重な食材を手に入れるため、手間を惜しまないんだから。


「ルイーゼ、人間の加齢には個人差があるんだ。それまで待つしかないよ」


「ボクが成人に見られるのって、何年後くらいかな?」


「……ルイーゼのお母さんから推測するに、あと二十年くらい?」


「えっーーー! そんなに待つの? さすがにそれは避けたい……そうだ!」


 女性が年を取るのに必要な要素の一つに出産がある。

 ボクの場合二人産んでも全然年を取らないから、三人目、四人目を産めば きっと……。


「ヴェル、ボクもっと子供が欲しいな」


「ルイーゼ! しぃーーー!」


「あの男、あんなに幼い子に子供を?」


「人は見かけによらないよな」


 あっ、しまった。

 大勢の人たちの前で、いまだ未成年扱いのボクが『子供が欲しい』なんて言っちゃったから、ヴェルが幼い女の子好きに思われ……って!


「だから! ボクはもう二十歳を超えているんだって!」


「……お嬢ちゃん、その男の人がよっぽど好きなんだね」


「庇う気持ちはわかるけど……」


「うがぁーーー ! だからボクは大人なんだよ!」


「俺、もの凄い風評被害の犠牲者になってないか?」


 こうなったら、胸を大きくする魔法薬よりも、年相応の外見にしてくれる魔法薬を優先して探さないと。

 胸を大きくする魔法薬よりは、簡単に見つけられると思うから。

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― 新着の感想 ―
冒険者登録は十五才にならないとできないから冒険者証で成人は証明できるはず。ただ冒険者以外だとどうするのだろう? 年齢証明が必要になることがないんだろうな。
それを捨てるなんて、とんでもない!
 フリードリヒのお酒事情よりも。ルイーゼは自分の娘である、エリザを心配しましょうよ。  風評被害をもらうくらいなら、ヴェルは「自分の妻」と言った方がマシでしょう。  普段からルイーゼを見ている人か…
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