エピローグ
ある日、【竜の渓谷】に一通の手紙が届いた、──はずだ。
「お客様から預かった手紙が本官の【己が守るべきもの】であります!」と妙にやる気満々に敬礼した【風竜宅急便】に配達を頼んだからきっと届いてる。
その手紙には、僕が【ガーディアン】になった旨と、ここの暮らしは田舎で不便なこともあるけど、町の人たちは皆あったかくていい人なこと、ちょっと子供たちがやんちゃすぎたりして手を焼きながらも楽しくやってること、等々の近況報告が綴られている。
一緒に町の人たち全員と僕とで撮った写真が同封してあって、全部に目を通した大爺様は顔をあげてきっとこう言うんだ。
「リットのやつもようやっとるようじゃなあ」
……ま、それは全部僕の空想なんだけどね。
さて、と! 今日もしっかり町の平和を守るとしますか!
とは言うものの、僕が【ガーディアン】として働くことなんて全然ない。
用意された宿直室でぼんやり町の出入りを監視しとくだけだ。
でも、それでいいんだ。
僕が働くような事態って何か危ないことが起こってるってことだからね。
「リットーーー! 川に遊びに行こーーーーー!」
おっと、子供たちのお出ましだ。はいはい、いま行きますよ。
僕は【ガーディアン】としての職務があるのだけれど、子供たちに無理を言われて泣く泣くつきあってあげているといった風のちょっと困ったポーズをとる。
大人たちは子供たちに囲まれて手を引かれる僕を見て微笑ましいなあとでも言いたげな顔をしていて、……皆ちゃんとわかっているのだ。
でも、おおっぴらにサボるのは流石によくないからね。
僕は今日も仕方なくといった顔を装う。
「今日こそはちんこ見せろよ、ワニトカゲ―!」
「だーから、見せないってば!」
「ケチー!」
今日もこの町は平和です。
おしまい。




