to be continued.
綺麗なものを見せつけられた。
まだ年端もいかない、俺のように原初の光が散る以前から生きている古竜ですらない子供の水竜。
涙目になりながらも決死の覚悟で、この俺に立ち向かった。
だからだろうか。
拳を振るう腕が鈍った。
大地を踏み締める足に力が入りきらなかった。
そして。
俺にはできなかったことをあの子供の水竜は成し遂げたのだった。
俺には守るべき主君がいた。
けれど、守るために戦うことすらできなかった。
いいや、それどころか俺はあろうことか敵を素通りさせたのだ。
自身の邪な想いのために。
そんな俺には、あの子供の水竜のありようが眩しかった。
あんな子供にすらある当たり前の善性がお前にはないのだと、見せつけられた。
……俺は、ずっと死に場所を求めていた。
悪漢に与すれば、いずれ誰かが俺を討つのだろうと思っていた。
その時がついに来たと思った。
けれど、違った。
この世界からお前には手にかける価値すらないのだと疎まれたのだった。
もちろん、あの子供の水竜はそんなことは思っていないだろうが……。
俺は、何もかもを間違えた。
俺はあの時主君を守るために戦って死ぬべきだったのだ。
そうできないのならさっさと自刃をすればよかった。
死ぬべき時に死ねなかった俺は、なんだ?
俺は、骸だ。
生きてなお、ずっと、死んでいるのだ。
結末を迎えているくせして、この悪夢は終わらない。
終わってくれない。
ずっと終わらない悪夢の中、一人荒野を彷徨い歩いていた。
そんないつかの時だ。
「ねぇ、そこの君。ちょっと力になってもらいたいことがあるんだけど、いいかな?」
声に顔をあげる。
そこにいたのは、黒いローブを身に纏った恐ろしいほどに容姿の整った金髪翠眼の青年で。
一見して分かる。黒魔道士だ。
「どうせ生きる理由とかがないんでしょう? なら僕が用意してあげる」
若い黒魔道士は勝手なことばかり口にする。
そして、こちらが手を取ると決めつけているように、訝しむ俺を無視して手を差し出した。
振り払っても構わないはずだった。
けれど。
『生きる理由』
黒魔道士のその言葉に惹かれてしまった。
だから、俺はその手に僅かな希望を手繰るように手を伸ばしてしまったのだった。
俺の手を取った黒魔道士は、妖しく微笑んだ。
────to be continued.




