自由になりたい~ある少年の場合
ユチオの元に、ある少年がやってきた。17歳位だろうか…。
ユチオは彼を一目見るなり、彼が家族から酷い扱いを受けている、とわかった。
彼の目はくぼみ、虚ろで、負のオーラをまとっている。しかし、外ではそんな様子は見せまいと何とか取り繕っているのだ。
「自由になりたいんだ」
おもむろに少年は告げた。
「…一緒にこれを拾ってくれたまえ」
ユチオは少年に星形の物体のような物を拾うようにうながした。少年はユチオと一緒に星形の物体を拾い、ユチオにとっては大きい、少年にとっては小さい20cmほどの籠に入れた。
籠の上には沢山の星形のかけらのようなものでいっぱいになった。
ここは、ピンクと黄色のユチオという毛むくじゃらの体長15cm位の妖精の操作する空間だ。
「僕は天使ではなく、妖精だよ。だから、君のその願いを叶えるのには手段を選ばないけど良いのかい?」
「構わない。これ以上我慢できない。このままだったら自分が何をするかわからない」
ユチオはうなずき、星の形をした物体を1個少年に向けて渡すしぐさをし、「ユッチー!」と叫んだ。少年は、小さな毛むくじゃらの奇声に驚きつつも、ユチオからそれを受け取り、10円玉位の大きさの星の形をした物体を自分の手のひらの上に乗せて何も言わずにじっと見ていた。
ユチオは星形のかけらのような物をのせる籠を両手に持ち、近くの洞窟まで、トコトコと歩き始めた。しかし少し進んだ位で、やはり籠が大きかったからなのかピタリと止まり、オレンジと黒の模様の蝶々のような羽根を背中に出し、洞窟まで飛んでいった。洞窟の奥に空間があり、ユチオは1度少年の方を振り向いたが、少年が表情を変えずにそのままいるのをみて、また前を向き、そこに籠の上にある物体類をそっと流し入れた。
少年が元の世界に戻ると、少年を苦しめていた家族はすっかりと消えていた。少年は自由になった。
家族は、少年を置いて、どこかへ消えてしまったのだろうか。どうなったのかは、わからない。周りの人は、少年がずっと1人で生活しているというような風で接してくる。
少年は、途方にくれたが、1人になった。
自由になった。
そこへボンがあらわれた。
ユチオの妖精仲間だ。
ボンは、占いをしている小さな妖精だ。
ボンはこげ茶色の毛むくじゃらの見た目で、
「ボン!」
と言った。甲高い声だった。少年は、ボンを抱き締めた。
こうして、少年はボンと一緒に暮らすことになった。
これからはボンが少年の保護者であり、家族なのだ。




