恋人が欲しい~ある50代独身男女の場合
「妖精ちゃ~ん」
ユチオは小さな岩の影にそっと隠れた。
「妖精ちゃ~ん、どこなの!???」
声はかわいらしいが、この50代の女性は、鋭い目つきでユチオを探してその辺を行ったり来たりしている。
ユチオは大人の手の平サイズの大きさのクリーム色の毛むくじゃらの生き物だ。
このユチオは人間の願いを叶えるのを趣味とする妖精で、日々星形の欠片を集めている。
しかし、この欲望丸出しの人間の願いを叶えるのは嫌だとユチオは感じて隠れているのだ。
だがなかなか、この人間はいなくならない。諦めて元の世界に帰るまでユチオは、逆に人間の世界に移動することにした。
移動した先は、先ほどの50代の女子と同じにおいのする、同じく50代の男性だった。
彼は常に部屋にいるニートおじさんのようだった。ユチオを見るなり、ユチオを捕まえようとしてきた。ユチオはさっと逃げて、物陰に隠れた。
「何だあの生き物は!?」
おじさんは独り言を呟いた。
『そうだ、この2人をくっつけよう』
ユチオは閃いた。
ユチオは、このおじさんとさっきのおばさんを、異空間に移し替え、2人だけにしてあげた。
「あなた誰!?」
「誰だお前!?」
きっとこの、おばさんとおじさんの恋が始まる。そして2人だけで暮らすのだ。
ユチオは良いことをした気持ちになり、そっと目を閉じた。
実は50代の女も50代の男も恋人が欲しいという願い事をかかえていた。
しかし、素直になれないのか、なかなか相手を決められず50代まできてしまっていた。そしておばさんの方は、自分にぴったり合う恋人が見つけられるようにと、ユチオに星形のかけらをもらおうとしていたのだった。




