友達が欲しい~のの香の場合
「私の言うこと何でも聞いてくれる友達が欲しいの!!」
のの香はユチオに声高く叫ぶように言った。
「そんな都合の良い友達なんて健全じゃないね」
ユチオとは人間の手の平ほどの毛むくじゃらの妖精だ。毛はクリーム色をしていた。ユチオは10円玉ほどの大きさの星形のかけら(ぷにぷにしている)を籠に入れながらそう答えた。
「何でも願いを叶えてくれるんじゃないの!?」
のの香は口を歪めながら、ユチオになおも詰めよった。
無視して籠に星形のかけら(ぷにぷにしている)を入れているユチオ。それをみて不機嫌になりそこからいなくなるのの香。
ユチオの黄色とピンクの蛍光マーカーで描いたような世界からいなくなったのだ。
そんな中、ユチオが一言呟いた。
「君が不幸になるのは見てられないよ」
『誰でも良いから私の願いを叶えてくれる人出てきて頂戴!!』
のの香は心の中でそう叫んでいた。そうすると、いつの間にか、そのような世界にたどり着いていた。
ユチオに拒否されて不満になりつつも、のの香は元の地球に戻らずに別の世界に来たようだった。
そこの世界は薄暗いグレーの世界で、先ほどと同じような人間の手の平サイズの毛むくじゃらの生き物が同じように籠に星のかけらを入れていた。毛の色は薄い桃色だった。
『今度はこの子に頼めば良い』
のの香は、そう思った。
「私はのの香、あなたは願いを叶えてくれるの?」
すると薄桃色の生き物はこう答えた。
「ワタシはコモモ、小悪魔よ」
その生き物は先ほどのユチオとは違い、とてもニコニコとしていて愛想よく答えてくれた。
小悪魔!?先ほどのユチオは、妖精だと言っていたのに。
一瞬、そう頭によぎったが、すぐにのの香はそれを打ち消した。
「私の言うことを何でも聞いてくれる友達が欲しいの」
それを聞くとコモモは、にやりと笑い、のの香に星のかけらを差し出した。
その瞬間、のの香は、もとの世界に戻っていた。
地球の元の日常。
のの香、11歳、小学5年生。
学校の教室の休み時間にブツブツと独り言を言っているのの香。
のの香の頭の中には空想の友達がいる。自分の言うことを何でも聞いてくれる都合の良い友達。これは小悪魔のコモモが魔力で作ってくれた友達だ。この友達がいる限り、のの香には生身の友達が出来ない。
それから30年。41歳の、のの香。その頃には友達に見える人も周りにいるが、みんなのの香を利用しようとする人ばかり。
空想の友達が一番の友達だった。
しかし、そこにユチオが現れ、空想の友達を消してしまった。
どうやって消したかというと、小悪魔の力は強いので、妖精のユチオは勝てない部分が大きい。
だが、違う作用を起こすことは出来る。
ユチオは、のの香が、自身の間違っている友達関係に疑問を持った時期に素早く現れ、星形のかけらを渡した。
「友達が欲しい…」
そう、のの香は心から願った。
ユチオが渡した星形のかけらは、空想の友達がのの香に本当の友達を作らせるように姿を少しずつ消えさせるという、『身を引く』行為をさせた。
それによって、のの香にもいつの間にか数人友達ができた。
決してその友達は、のの香の言うことを何でも聞いてはくれなかったが、それでも、のの香は幸せだった。




