↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
願い事が叶う星形の物体  作者: 後東衣桜利


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/16

海へ帰りたい~ある蟹の願い

小さな蟹。

ある海の中で元気に生活していたが、知らない人間に魚肉ソーセージでつられて今は小さなプラスチック水槽の中に熱帯魚用の塩水をため、その中に閉じ込められている。

最初は逃げたくて何度か脱走したが、海は近くにないため、せいぜい部屋のすみに隠れる程度だ。またすぐに水槽に戻される。


そんな生活をしていると、徐々に蟹が元気がなくなり、ある時に動かなくなってしまった。

海に帰れない。そんな現実が蟹の心を壊したのだ。


そこへ、ユチオがカモメに乗ってやってくる。夏なので窓が開いていて、人間の子供が動かない蟹をみて泣いていた。

ユチオは家の中に入りこみ、蟹を両手に持ち、立ち去ろうとした。

「どこへ連れていくの?」子供は15cm位の白い毛むくじゃらの生き物にそう聞いた。白い毛むくじゃらは、首から星形の物体をひもに通してかけていた。

「一緒に来るかい?」毛むくじゃらは子供に聞いた。

うなづくより先に、子供もユチオと同じ15cm食らいの小人(こびと)になった。そして2人でカモメの背中に乗った。動かなくなった蟹も一緒だ。カモメの背中にしっかりと小人にされた子供がしがみつき、その後ろに蟹を持った毛むくじゃらの生き物が余裕で座っている。

カモメはユチオ達を乗せたまま、カモメ独特の鳴き声をして部屋の窓から飛び立った。

この地域に海はないため、カモメをみた人はなぜこんな所にカモメがいるのかと不思議に思った。

彼らを乗せて、長い長い時間飛んで、海についた。ユチオは首につけていた星形の欠片をはずして、蟹に巻き付けた。そしてそのまま蟹を海に投げ込んだ。

蟹は海の底に底に沈んでいった。

ユチオは、子供と一緒にカモメの背中に乗りながら波に揺られてそれをみていた。

子供は蟹に何も言うことは出来ずに、ただ見ていることしかできなかった。


沈んだ海の中の蟹。どの位時間が経ったのだろう。しばらく時間が経って星形の欠片は、いつの間にか蟹からなくなっていて、蟹は動き始めた。


子供は目覚めると自宅にいた。先ほどの毛むくじゃらは夢だったのか。蟹はどこ?


水槽には蟹はいなかった。すっかり消えていた。

子供は言った。

「蟹は海に帰れたんだね」

先ほどのカモメの背中にぴったりくっついていた感触がリアルすぎたのだ。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。