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願い事が叶う星形の物体  作者: 後東衣桜利


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一生続けていける仕事が欲しい~笹子(ささこ)の場合

ここはフリーマーケット会場。天気が良く、外で行われている。

ちょっと気まぐれに見てみることにした。

笹子(ささこ)が見ると、深い帽子を被った男がTシャツを売っていた。

そのTシャツには白地に筆で書いたような毛むくじゃらの生き物が1匹描かれていた。籠も書かれていてその中には星が沢山入っていた。

「わぁ!かわいい!!」

笹子は思わず声をあげた。


そこには手書きで値札が書かれていて、1500円と書かれていた。

「あの、これ、ひとつ下さい」

そう言うと、Tシャツ売りの男は

「きみ、かわいいから、1000円にまけておくよ」

と言った。

「やったー!」

笹子は1000円札を男に渡した。

男はビニール袋にTシャツを入れて、笹子に渡した。


笹子が帰ると、そのフリーマーケット会場は、霧が晴れる様に消えていった。




数年後、笹子は毛むくじゃらの生き物が書かれたTシャツを着て歩いていた。

するといつの間にか、黄色とピンクの異世界に紛れこんでいた。

「あっ!」

笹子は、白い毛むくじゃらの15センチ位の生き物を見つけた。パッと見は、手のひらサイズの小さなクマのぬいぐるみのようだった。

その生き物は10円玉位の星形のかけらを皿のような形のザルにもりもり積み上げて入れていた。

その生き物は笹子をチラ…とみて言った。

「ユチオだよ」

「ユチオ?あなた、ユチオって言うの?」

毛むくじゃらは答えた。「そうだよ」

「よろしく。ユチオ。私はささこ、パンダの笹に子供の子で笹子。」

「よろしく。僕は、お湯の湯(ゆ)に、さんずいの治すの治(ち)、動物の尾っぽの尾(お)で、湯治尾(ゆちお)だよ。」

「へーそうなの?あなたにも漢字があるのね?」

「いや、今とっさに考えたんだけどね…」

そういって顔を見合わせてはははと笑った。

「そのT シャツ似合ってるね」

「ありがとう!」あら、湯治尾は、もしかしてあの時のフリーマーケットのTシャツを売ってくれた人にも似てる。湯治尾が変身してたのかな?と何となく思った。


湯治尾(ゆちお)は、笹子の側へ歩いて行き、星形のかけらを渡した。

「これは…?」

「これはひとつ願いを叶えてくれるよ」

「一生続けていける仕事が欲しいです」

笹子の口からすぐに切実な願いが出てきた。

笹子は、高校を卒業して勤めた正社員の仕事を3ヶ月で辞めた。上司と合わなかったのだ。

周りからは、我慢が足りないという目でみられたが、あんなところで一生を終えたくない、という気持ちから、早々と決めたのだ。

お金ではない。心の自由が欲しかった。それから、仕事をどうしようと悩んでいたのだった。

目が覚めると、笹子は自分の部屋にいて、目の前には、ある和菓子工場募集の紙があった。知らない会社名だったが、早速連絡し、面接を受けに行った。

そこはパートだったが、すぐに採用され、福利厚生もしっかりしている所だった。

全身白い制服に身を包み、うがい、手洗い、体にコロコロをかけ、工場内に入ると、和菓子を作っている工程の流れ作業に入ることになった。ここまでは普通の会社だと思っていた。

その後が変わっていた。不思議な世界に紛れこんだ感じだった。

細長い機械の先から、元気に3センチ位のピンクの和菓子の生地が次々に出てきた。それらが、動くレーンの上に踊り出る。あちこちに動き出しているが、レーンの上には乗っている。笹子の仕事はそれらを1列に並べる仕事を与えられた。レーンの先にいる人が次の作業をするためだ。しかし、ピンクの生地は生きているようにピョンピョン動きだし、1列に並べた後でも列からはみ出てどこか違うところへ行こうとする。列に戻してもまた、どこかへ行こうとするのだ。

「あの、すみません」

先輩社員に列に並べない生地のことを相談すると、先輩は、

「この箱に入れて」

と、列に並べない生地を別に移せと教えてくれた。

『自由でいたいんだ』生地が話し出した。

この生地は、後で、相談課にうつされて、カウンセリングを受けるらしい。

これは、妖怪のお菓子(和菓子)を作っているようだった。人間も食べれるようで、さいごに1つ2つ余った和菓子を食べることを許されることもあった。

他の和菓子も妖怪のお菓子らしく、自由で不思議なものだった。

それらを作る妖怪専用の食品(和菓子)工場で、笹子はずっと働き続けた。

34歳には結婚をし、子供ができ、その後15年位は専業主婦だったが、その後49歳からまた期間限定でその工場に時々働きに行っていた。

ただ、妖怪の和菓子の工場ってことは内緒だ。夫は工場で知り合った妖怪で、子供も半妖怪ということも…。








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