本当の自分で生きたい~ゆうこの場合
ここはピンクと黄色の不思議な空間である。
体長15cmほどの妖精ユチオは、1人でこの空間で過ごしている。
ユチオの前にゆっくりとした歩きの、腰が曲がっているのか、体をくの字にくねらせた高齢女性がやってきた。
網目の粗いザルに星形のかけらを乗せているが、ザルからは物体が何故か落ちない不思議な現象がある。
星形の物体を拾っているクリーム色の毛むくじゃらの小さな獣に高齢女性は話しかけてきた。
「白い猛獣さん」
「ユチオだよ」ユチオは答えた。
「ユチオさん…」高齢女性は声をかける。
「ユチオさん…私…もう嘘はつきたくないの…本当の自分で生きたいのよ…」
ユチオはチラ…と高齢女性の方を見てこう言った。
「本気かい?」
「本気です。本気…」
高齢女性は何やら熱にうなされるようにそう言った。
ユチオは、小銭の10円玉位の大きさの、星形のかけらを1つを女性に、そっと渡した。
女性は、それを受け取り、手のひらの中にそっと包み込んだ。
また手のひらを広げると星形のかけらは無かった。
その高齢女性の名前は【ゆうこ】と言った。
ゆうこはある家に昔から置いてある操り人形だった。腰は曲がり気味の高齢女性の姿をしていた。遠い昔はわからないが、今は誰もその人形に興味を示さない。
ゆうこは、自分についてる操り糸から抜け出し、自分の足で歩き出した。
翌朝、ゆうこ人形は操り糸を残して消えた。
それに気付くものは家族の中で誰もいない。
人形はどこへ消えたのだろう?




