その4
待ち合わせは名古屋城の天守前であった。
一颯はこの暑い中でもシュッとスーツを着こなして人々の視線を釘づけにしている人物に目を向けると手を挙げた。
「よ、久しぶりだな」
それにその人物と隣に立っていたカジュアルスタイルの青年を見た。
「島津に松野宮」
シュッとした青年は島津春彦と言い、九州で政財界に通じる権力家系の島津家の次男であった。
もう一人は今日本画壇を席巻する日本洋画界寵児である松野宮伽羅であった。
一颯の呼びかけに島津春彦は振り向くと
「一色、久しぶりだな」
と手を振って応えた。
松野宮伽羅も手をパタパタと振り
「ひっさしー」
と笑顔で返した。
一颯は笑いながら
「お前ら相変わらずつるんでるな」
というと
「神宮寺や伊藤や田中や陸奥はどうしてる?」
と聞いた。
春彦はそれに
「今日、神宮寺は来るつもりだったんだけど急な会議が入って抜けられなくてな」
神宮寺家の当主だからな
「陸奥も同じ会議に出てる」
伊藤と田中は明日来るって
「二人とも名古屋城を登るって張り切ってる」
と笑った。
一颯は笑うと
「なら、明日は名古屋名物の店回りだな」
と告げ、少し離れた場所で立っている羽田野大翔を見ると
「それで羽田野は…今日も警備の任か?」
と聞いた。
春彦は首を振ると
「いや、こっちでの三日間は譲が警備をしてる」
一色に会いにきたけど癖で距離を開けて周囲を警戒してる
と苦笑した。
一颯は「そうか」と言い、振り向いた大翔に手を振った。
大翔は駆け寄り
「久しぶりだな」
と言い
「つい癖でな」
と笑うと
「今日の店は俺がチョイスして警備を武藤さんに指示を出してもらってるから良いか?」
明日は案内してくれ
と告げた。
一颯は頷くと
「ああ、構わないぜ」
と答え
「何処だ?」
と聞いた。
大翔は携帯を出して
「大手門を出て堀沿いを歩いたところにある花山椒という店だ」
と告げた。
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




