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ReBlood.N  作者: 毎日がメスガキに敗北生活
山頂の四季 (修正予定)
21/51

ep.21 "やさしくねェんだよ"

ブラムは鼻で笑い、国宝"オニマル"を抜く。


「さっきから一人でベラベラと…

この町の神である私に反逆したこと…

あの世で後悔しろ!」


剣が振り下ろされる。


間違いなく、シルの身体を斬った

切れ味は本物だ

普通の人間なら真っ二つで即死だった。


だが…

シルは表情を変えずに前へ進む。


「な…なん、だ…?」


ブラムは焦り

恐怖に駆られたように剣を振り回す。


出鱈目な太刀筋でも

一太刀で頭身を両断できるほどの業物。


しかし


夜叉ヴァンパイアの能力を得たシルには

まるで通用しなかった。


「うわあああああああ!!!!」

ブラムが情けなく叫ぶ。


シルは真正面から近付く

ブラムの目の前に立ち

胸ぐらを掴み…殴った。


~~~~~~~~~~


拳は軽い

ブラムは痛みよりも

呆れが勝ったように笑った。


(…こいつ…殴りはてんで弱いぞ…?

非力すぎる…馬鹿だ…!)


ブラムの表情に笑みが零れる

死ぬことはないという安心感に胸を撫で下ろす。


シルは倒れたブラムの胸ぐらを

もう一度掴んで…殴った。


ブラムは抵抗して斬りつける

斬っても斬っても、再生する

だがいつかこの再生が終わると信じて

…斬り続ける。


その間もシルは殴り続けた。


腕を斬られても

腹を貫かれても

足を切断されても。


痛みを感じながらも

ひとつも表情を変えない。


そこには

死んでいった者たちの痛み

守れなかった人々の苦しみ

その全部を理解し…背負う覚悟があった。


…何分経っただろうか

やがて、ブラムの剣は止まった。


腕が下がり

体が震え

声も出なくなり

ついに…動かなくなった。


それでもシルは殴っていた。


拳に力がある訳ではない

ただ…


「壊れるまで殴る」

という、執念だけがあった。


~~~~~~~~~~


シルの気迫に、ロジェロは言葉を失っていた

ゼラとユーリを抱え

シルはロジェロの目の前に立つ。


「…毒を治そう」


短く、それだけを告げる

その声音には不思議な安心感すらあった。


だが

目を離した隙だった。


ブラムが這いつくばりながら起き上がり

マリーの腹に国宝"オニマル"を突き立てていた。


「ば…かが……

解毒剤なんか…あるわけ…ねぇだろ…!

全部…ツワブキを殺すための…嘘だ…ぜ……!」


血と涎で濡れた口元を歪ませ

死にかけの男とは思えぬ狂気を宿した笑み。


「ふ…ざけ…るなよ……

この…まま…帰すと…思うか…

こいつを…殺されたく…なければ……」


マリーを盾にブラムは震える声で命令する。


「全員…今すぐここで自害しろ…!」


ロジェロの顔が怒りで歪む。

「どこまでも卑怯な…!!」


しかし…シルは振り返らなかった。


ロジェロは疑問と恐怖の入り混じった声で叫んだ

「シル…!?」


「こ…いつが…どうなっ………」

ブラムの言葉が途中で途切れた。


視線を向けると


巨大な影(アスノ)

ブラムの頭を片手で掴み上げていた。


「…悪いけどよォ…」


───俺、クズには優しくねェんだよ。


振り下ろされた拳は凶器のような重さで

ブラムの体を壁へ叩きつけた。


骨の砕ける音が響き

ブラムはズルリと崩れ落ち…


二度と、立ち上がらなかった。

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