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『天使と紫の炎』  作者: Bro_Be_Like_83
第4部 — 優しきヴォルタ王国および氷霜のエーテル王国における数多の戦闘。
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チャプター57 ― 霧の中の戦闘!

空を見上げると、霧が空気の中でさらに濃くなっていくのが見えた。

僕――エンジェル。

その瞬間、十体の男性の影がまるでどこからともなく落ちてきたかのように、空から降りてきた。

それぞれが威圧的で、武器を手にし、フードを深く被り、広場の石畳に乾いた音を立てて着地する。


群衆は悲鳴を上げ、一斉に混乱した。

通行人は四方八方に走り出し、露店を倒し、恐怖の叫びが喧騒に混ざる。

カフェ、大橋、商店……すべてが見えない手によって操られるかのように、まるで誰かに操られているかのような混乱に包まれた。


胸が早鐘を打つ。

反射的に友人たちの方へ下がる。

ブランシュはすでに構え、冷たい視線で影たちを見据え、両手は武器に力を込める。

ヴァイオレットとエスターは不安げだが決意を宿した目で互いに視線を交わす。

エリーは一瞬動けずに固まるが、やがて防御の構えに入った。


霧はさらに濃くなり、影たちは恐ろしい正確さで動く。

まるで僕たちの居場所を完璧に把握しているかのようだった。

広場全体が不安に包まれ、叫び声と逃げ惑う足音が緊張を煽っていた。


「エンジェル!」

フードの女が低く囁く。

「動かないで、見て……」


僕はうなずく。

目を逸らすことができない。

影たちはさらに降下し、この襲撃が偶然ではないことが明白になった――僕を狙っている。

群衆はパニックに陥り、衝突し、散り散りになる……そしてその混沌の中、僕たちはまさに敵の思惑通りの場所に立たされていることに気づいた。


霧は濃くなり、すべてを覆い尽くした。

広場はほとんど存在せず、通行人の叫び声は湿った白いヴェールの中でかき消される。

仲間たちの存在を感じる――荒い呼吸、張り詰めた空気。


ヴァイオレットはラピエールを構え、動く影を鋭く見つめる。

ブランシュは冷静に、霧の隙間に光る氷の刃を揺らす。

エリーは堂々と、ミスリルとオリハルコンの剣を正確に振るい、

エスターは小柄ながら決意を胸に剣をしっかり握る。


合図は無言だが明確。

全員が一斉に突入する。

影たちは霧の中で閃光のように現れ、致命的な流動性で動く。

経験豊富で、一人ひとりが予測し、阻止し、避け、冷徹に攻撃を繰り出す――僕たちの集中は限界まで試される。


僕は大太刀を抜く。

冷たい金属が手のひらに触れ、マナが血管を駆け巡るのを感じる。

敵の足音に地面が震え、霧は渦巻き、攻撃、回避、反撃の連鎖が、死の舞踏となる。

恐怖とアドレナリンが交錯するが、僕はより速く、より正確でなければならない。


「耐えろ!」

エリーの声が霧を貫き、彼の刃はエスターに届く前に影を切り裂いた。


すべての攻撃は計算され、動きの一つひとつが、視界ほぼゼロの混沌の中で優位を保つための戦いだった。

影たちは規律正しく進むが、僕たちも決意している。

僕の大太刀は空気を裂き、長年の鍛錬の力が集中する――速度、力、本能。

最初の交戦が始まる。

霧の中心で、凶暴かつ正確に。


グループの長が霧の中から姿を現す。

その一歩一歩は戦鼓のように響き、眼差しはヴァイオレットに向けられる。

彼女が反応する前に、目に見えぬ致命の刃を振りかざして突進する。


本能的に、僕は身を挺す。

大太刀を前に構え、刃が空気を切る。

衝撃が腕を震わせる。

男の力は圧倒的だが、僕の防御に驚く様子はない。

彼は楽しげに微笑み、僕の限界を試すかのようだった。


「速いな……だが、まだ足りん。」

霧の中で瞳が光る。


僕は圧力に押されて後退するが、集中を保ち押し返す。

男は一瞬たじろぎ、僕の抵抗に驚く。

そして小さく笑い、挑戦を楽しむかのようだ。


「悪くない、子天使……実に悪くない。」

嘲るように言い、再び攻撃態勢を取る。


ヴァイオレットはレイピアを掲げ、僕の隣に立ち、長の動きを見逃さない。

緊張が張り詰める。

その中で、危険にもかかわらず、奇妙な高揚感が胸を走った――決闘は始まったばかりだ。


長が再び跳躍し、斬撃を放つその瞬間、視界を奪う動きがあった。

フードの女が霧の中から現れ、真っ白な刃が空中で輝く。

彼女は完璧な姿勢で僕と長の間に立ち、刃先を男の胸元に突き立てる。


「髪一本たりとも触れさせはしない。」

声は凍てつくように冷たく、しかし揺るぎない。


長は目を見開き、予想外の介入に足を止める。

一歩下がり、白光の刃を計り、前進を阻むその存在を測る。

笑みは消え、挑戦と慎重さの混じった表情に変わった。


「誰……?」

霧が渦巻く中、彼は動けない。


ヴァイオレットとブランシュは瞬時に視線を交わし、万が一の不意打ちに備える。

緊張は弦のように張り詰め、フードの女の存在が僕を守っている重さを感じる。


男は触れられないと悟るや、細く黒い短剣を取り出す。

緑色の液体が輝く――致命の毒。


しかしフードの女は微動だにせず。

刃を上げ、完璧な構えを取り、青紫の瞳で全ての動きを捉える。

短剣が空を切り、白光の刃が正確に受け止め、接触で小さな火花が散った。


「愚か者…」

冷静な声で吐息のように言う。


男は一歩下がり、再び突きを放つ。

フードの女は滑らかに回転し、すべての動きが正確で計算され、敵と踊るかのよう。

毒は一度も命中せず、純白の刃が不可侵の壁となり、危険を遮る。


霧は渦巻き、遠くで群衆は叫ぶ。

だが僕の視線はただ一つ、この死の舞踏を支配するフードの女に釘付けだった。


僕がわずかに目を逸らした隙に、一人の男が剣を構えて飛びかかる。

防御の準備をする前に、冷たい声が響く。


「触れるな、下劣な奴……」


振り向くと、ブランシュがいた。

血に染まったレイピアを手に、正確無比に前進する。

血に染まった長い金髪、顔も血まみれ――だがその歩みは無慈悲で優雅。


流れるように刃を振り、男の喉を切り裂く。

首が地面に落ち、刃は瞬時に鞘へ戻る。


「汚い手で触れるな。」

声は柔らかくも威圧的で、冷たい瞳が残された体を見据える。


そして、その狂気の一瞬が過ぎると、彼女の視線は僕に向かう。

優しく、穏やかな微笑み。

血塗れの戦場と対比して、僕の視界から、周囲の動きが一瞬消えたように感じた。


僕は立ち尽くす――畏敬と恐怖の入り混じる中、血塗れのレイピアとともに微笑む彼女の姿に息を呑む。

彼女はゆっくりと前進し、霧と戦闘の混沌を背に、僕の前に現れる。

その瞬間、周囲の世界は止まったかのようだった。


「大丈夫……」

彼女は自分自身に、そして僕に囁く。


僕は応えることもできず、その姿から目を逸らせなかった。


フードの女は軽く体を回転させ、真っ白な刃が王者のような正確さで空気を切った。

男は素早く、狡猾に攻撃を仕掛けるが、彼女はすべての一撃を一切の淀みなく、防ぎ、避け、受け流す。

まるで身体が、相手の次の動きを先に知っているかのようだった。


「髪一本たりとも触れさせはしない。」

冷たい声で、僕――エンジェルを見据えながら言う。


男は唸りを上げ、リズムを変え、フェイントや素早い連撃を仕掛けるが、フードの女は譲らない。

霧に反射する刃は光り、動きは正確で制御され、人間離れしているほど完璧だった。


攻防を繰り返すたび、男は一歩下がり、隙を狙うが、彼女は先読みし、刃の後ろに風を残すほどの速度と力で反撃する。

金属がぶつかるたびに空気がはじける。


僕は見入ってしまった。

彼女の青紫の瞳は揺るぎない決意に満ち、彼女がいる限り、どんな脅威も僕には届かないことを思い知らせる。


「思ったより速い……だが、まだ足りん。」

男は荒い息を吐きながら、彼女の速度と正確さに動揺している様子だ。


しかし彼女は微塵も弱まらない。

避け、攻撃し、構えを戻す。

白く王者の刃が時間と霧をも支配しているかのようだ。


その瞬間、男の背後に灼熱の気配が迫る。

アンバーが現れた。

威圧的な姿で、長い炎の剣が濃い霧の中でパチパチと火花を散らす。

赤い瞳は炎のような決意に燃え、剣に沿って舞う炎が顔立ちを鮮烈に照らした。


「今度こそ、逃がさない!」

雷鳴のような声が響く。


アンバーは跳躍し、剣を振るう。

その威力と速度は破壊的だ。

空気を薙ぎ払い、炎の軌跡を残す。

男は反応しようとするが、アンバーは隙を与えない。

ギリギリで身をかがめ、攻撃をかわす。

炎は地面に叩きつけられ、木の焼ける匂いが漂う。


「悪くない……だがもっと頑張れ。」

驚きと不安が入り混じった表情で、男は唸る。


アンバーはすぐさま姿勢を正し、赤く燃える瞳を彼に向ける。

動きは計算され、正確で、灼熱のオーラが霧を揺るがし、フードの女や他の者たちの戦いの混沌をさらに増幅させる。


男は一歩後退し、目を見開き、恐怖を隠せない。


「な、何だ……?」

声は震え、怒りと恐怖が滲んでいた。


霧の中、ブランシュは立ち尽くす。

血に染まったレイピアを手に、冷酷で柔らかな笑みを浮かべて、男を見つめる。


「はああっ……全部首を落としたわ……!」

彼女は小さく、しかし確かに喜びの息を漏らす――楽しみの声ではなく、達成感に満ちた、戦いの中の安堵の吐息だ。

「あなたの“仲間”たち、ひとり残らず…」


氷のような沈黙が訪れる。

残る男たちは視線を交わし、筋肉を硬直させ、攻撃に躊躇する。

巨大な男は拳を握るが、初めて状況の主導権を失った。


「ありえない……」

歯を食いしばりながら呟く。


ブランシュは一歩前に出る。

目を僕から逸らさず、柔らかくも威圧的な声で付け加える。


「私の愛する者にもう触れれば……あなたも同じ目に遭う。」


男は冷静さを保とうとするが、呼吸は乱れ、戦いの均衡が崩れたことを悟ったようだった。


僕は大太刀を握りしめ、胸は高鳴る。

巨大な男――彼らが“マスター”と呼ぶ存在が、なりふり構わぬ攻撃に出た。

目は野生に満ち、筋肉は緊張しているが、空気の様子が突然変わった。


背後から影が飛び出す。

速く、激しい。

男は勢いよく横に弾かれ、鈍い音を立てて地面にぶつかる。

目を瞬かせ、何が起きたのか理解できない。


「ふん、マスター・ドラテン、大幅に速度を落としたな……」

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