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月桂樹の冠.  作者: 叶笑美
組織の中へ
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失敗

ディンブラはピエロから連絡が来た。

roséに命を狙われ、組織内の人間まで使われたと判明した今、お互いに人材を守るためにと、明日biancoから葵を引取る事となった。


その夜、パルフェが葵の元に来た。

葵にまたがりナイフを喉元のどもとに当てる。

「パルフェ・・・」

「聞いたわ。明日、ディンブラに引き取られるんだってね」

ゆっくりと目を開けたが、再び目をつぶった。

そのまま話す。

「気になる組織の動きが確認できたから、ディンブラが俺を回収するそうだ。俺はディンブラの探し人をこの期間に見つけられなかった。小麦も・・・満身創痍だと聞く」

「あ、そ。よかったじゃない。またどっかの花園でぬくぬくしてなさいよ。必ず、平和ボケしたあんたを殺しに行ってやるわ」

体を起こし、ナイフを手で避けさせて、パルフェを抱きしめた。

パルフェは驚いたが、顔を真っ赤にして抵抗はしなかった。

「なぁ、一緒に来ないか?エディブルの花園に」

「な、何言ってんのよ!?私はあんたを殺そうとしてんのよ!!」

少し力を入れて抱きしめる。

「俺も小麦も大切に思っていたイナリがやられた・・・。仲間としてついて来てくれたドロップもギンジョーも目覚めない」

更に強く抱きしめる。

「元は俺の裏切りから始まった事だ。だけど、これ以上大切な仲間を失いたくない。・・・パルフェ、お前のことも失いたくない」

パルフェは黙って葵に抱きついた。

「エディブルで、一緒に暮そう。俺のことはいつ殺しても構わない。だから・・・頼む、一緒に来てくれ」

一度、葵のことを強く抱き返したが、すぐに力を抜いて答える。

「バーカ、行くわけないでしょ。あんたもディンブラもいるような場所。それに、私は組織に命を拾われた。組織の人間として、これからも生きていくの。あんたとは全く別の世界にいるのよ」

そう言うとパルフェが葵にキスをする。

「葵・・・必ず命を奪ってやるから。例え絶対干渉不可の花園でも・・・」

そしてパルフェは出て行った。


ピエロとランブルは路地の隠れたバーで密会をしていた。

「roséが部下のトロフィーとフィルを使って小麦と葵を殺そうとした・・・」

「それなら、ウチのキティとジュエもだよ・・・。あいつらのケータイを調べたところ、ピーアニーやらジョーカーやら、その他色んな奴から連絡が来ていた」

ロックグラスに琥珀色に輝くウィスキーを眺めていると、じわりと結露がテーブルに滴る。

「この遠征でやつらの正体を明かしてやろうと思っていたのに、逆に利用されてしまったな」

「俺なんか借り物の小麦を精神的に潰されてしまった・・・。いけねーよな。一時的な関係なのに、一生懸命に仕事をする姿に情が移っちまった。あいつはもうすぐディンブラの元へ帰るが、ベットたちみたいに我が子のように感じてしまう・・・。だからこそ、今回のことは許せねぇ。心底悔しいよ・・・」

脚の上で組まれた手に力が入る。

「ふんっ・・・変わらないな」と言い捨ててロックグラスを一気に煽る。

「ピエロだって今回のこと、悔しいんだろ?」

「感情なんてどうでもいい。俺たちは今回負けた。それだけだ」

伏し目がちに空になったグラスを見つめる。

「随分前にピエロからこの話が来た時は、正直驚いたよ」

ランブルが思い出しながら鼻で笑った。

「名案だっただろ?目から鱗というかさ・・・。このままroséに仕切られっぱなしじゃあ悔しいからな。先代の無念を晴らしてやりたかったんだ。拾ってもらった恩返しにさ」

「ピエロも意外と熱いところがあるよな。普段冷静に裏から物事を動かし、周りに隠すようにニヤニヤ笑ってるくせに」

「ニコニコと言え。印象悪いだろ」

さすがに睨み返すが、ニコニコもおかしいだろ。

「でもよ、今回は失敗したがやってみて感じたことは、俺たちが手を組んだら、もしかしたらroséを倒せるんじゃないか?・・・と思うんだよ」

「当たり前だろ?この歴史ある巨大組織がお互いに力を貸し合えば、あんなわけのわからない組織、ひねり潰せるんだよ」

酒のせいか、強気な発言になっていく。

「ディンブラたちの力も借りられるしな・・・。再度練り直して出直そう」

「あぁ・・・必ず、roséの正体を暴いてやろう!!」

ピエロの目は真剣そのもので、言葉には熱が籠もっていた。


翌日、組織からディンブラの元に回収された時、葵も小麦も一言も話さなかった。

特に小麦のダメージが大きい。

ロルロージュは心配そうにずっと小麦の隣にいた。

大使やパーティ達はそんな2人を気にしていたが、普段とのあまりの差に触れられなかった。


午前中、ディンブラは大使達のお使いで外に出た。

その時、白いプルチネッラが目の前で路地に入って行くのを目撃する。

「プルチネッラ!」

ディンブラは慌てて追いかけると、路地の先でプルチネッラがこちらを向いて対峙するように立っていた。

「プルチネッラ・・・君はbiancoとrossoを仕切るroséの一員なんだよね?・・・僕は葵くんと小麦を先日まで2つの組織に渡して、普段、僕の人探しを手伝ってもらってる借りを返す役割をしてもらった。勿論、僕の人探しもしてもらった」

プルチネッラは黙っている。

「正直言うと失敗した。探してた人は見つからなかったし、それどころか、小麦なんて精神的に潰れて帰ってきた。・・・僕はボス失格だ」

ディンブラが落ち込む。

「葵くんから聞いたけど、roséが極秘にあの2人を殺そうとしたって?後でベットからも聞いたよ。ジュエにも小麦を殺すよう命令してたんだろ?今だって、君は僕の目の前に現れた。今度はroséが直々に僕を殺すの?」

黙り続けるプルチネッラにさらに質問した。

「プルチネッラ、君は一体誰なの?roséの目的は何?」

プルチネッラは背を向けて去ったが、ディンブラは追いかける事もしなかった。

項垂うなだていると、背後から女性に声を掛けられた。

「あの・・・」

その声に振り返って驚く。

「小麦の・・・お母さん!」

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