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銃撃されたクラは大した事は無かったが、真鈴のボルボッチ(苦笑)が傷つき真鈴は落ち込んだ…それにしても奴らは酷い…悪事やり放題だった。


俺と真鈴は互いにカバーしながら、そして、ジャンクヤードの塀の上に少し見えている監視塔を注意しながら進んだ。


やはりワイバーン発足の時から一緒の真鈴とはこういう時のコンビネーションは信頼できて頼もしいなと俺は思いながら進み、大きな木の根元に蹲ってジャンクヤードにSIGを向けている凛を見た。


「彩斗、真鈴、ここよ。」


インターコムから凛の囁き声が聞こえる。

俺と真鈴は互いにカバーしながら凛の所に行った。

監視塔に人は見えなかった。

凛の足元の地面がくぼんだ所にクラが倒れている。

俺はクラを仰向けにしてバイタルと傷を確かめた。

どうやらクラは呼吸をしているし心臓も動いている。


「凛、クラはどこを撃たれた?」

「さあ、一瞬だけど…血しぶきは上がらなかったけど…胴体とか…判らないわ…奴らは私が撃ち返したら慌てて監視塔を降りて行ったわ。

 クラは大丈夫なの?」


俺はクラの身体を探ったが外傷は見つからなかった。

血しぶきが上がらなくとも、ジャケット越しなど布が重なった部分に銃弾が当たっても映画の様に派手な血しぶきは上がらない。

俺はクラのこめかみを見た。

そこに紫の痣が一筋通っていた。


「凛、真鈴、ここだ。

 富士樹海の時の真鈴と同じだよ。

 銃弾はクラの頭を掠めたんだ。

 そのショックで気絶している。」

「ああ!良かった!」


凛がSIGをジャンクヤードに向けて構えてまま安堵の吐息をついた。


「でも彩斗、気絶してそのまま死んじゃう時もあるのよ。

 とにかくクラを連れてここを離脱しましょう。」

「コピー、凛、クラを担げるか?

 俺と真鈴でフォワードを組むから付いて来てくれ。

 ボルボまで急ぐぞ。」

「コピー。」


そう答えて凛がSIGをベルトに差してクラを担いだ。

俺と真鈴がそれぞれUMPとオリジン12ショットガンを構えて凛を従えてボルボまで戻る。


「奴ら出てくるかもね。

 彩斗、気を付けて。」

「コピー、真鈴なるべく殺すなよ。

 あまり大事にしたくない。」

「なるベく殺さないようにね。

 難しいけどコピーだよ。」


思った通り、裏山からボルボが見えたところに来るとジャンクヤードの入り口から何人かのチンピラがピストルを片手に叫びながら出て来た。


俺は奴らの足元に銃口を向けてオリジン12ショットガンを連射した。

ショットガンの集中射撃は物凄い土ぼこりを立ててチンピラ達が悲鳴を上げて、目くら滅法に撃ち始めた、突っ立ったままで。

やはりど素人だな伏せたり物陰に身を隠したりもしない棒立ちのランボースタイルかターミネータースタイルで撃ちまくっていた。


しかし、ド素人の奴らの銃弾でも充分威力がある。

真鈴がUMPを構えて進みながら3発づつくらいの連射で奴らの脚と下半身を撃ち抜いて行った。

大きな40口径弾で足を撃って太ももの太い血管を傷つけても出血多量で死ぬ可能性は高いけど、今なそんな事を言ってられない。


真鈴が弾幕を張っている間に凛がボルボに走り、クラを中に放り込んだ。

俺が真鈴に代わって奴らにショットガンを連射した。

真鈴がボルボに飛び込むとエンジンが掛かり、急ハンドルで俺のすぐ横に車を付けた。


「乗って!」


凛が窓を開けてSIGを突き出して援護射撃を始めたすきに俺は助手席に飛び込んだ。

ドアを閉める間もなく真鈴は急発進をして、新たにジャンクヤードから飛び出してきた何人かを跳ね飛ばしてそのまま走って行った。

フロントガラスに銃弾が当たりひびが走った。


「あ!チキショウ!ガラスに弾が当たったよ~!

 ひぃいいい!」

「真鈴、目立つけどしょうがないな!そのまま走れ!

 凛、クラの様子はどう?」


後席では凛がクラの頭を抱えてアンモニアの容器を鼻先で振った。


「彩斗!真鈴!クラが目を開けたよ!

 大丈夫そう!」

「よし、凛、だけど、頭の中で出血してるかも知れないからあまり動かさずに注意してくれ!」

「凛…助かったよ、ありがとう。」

「クラ。お礼は良いからもう少し痩せて。」


ジャンクヤードからかなり離れた。

奴らは追ってこなかった。

俺と真鈴はボルボを降りて車の損傷を確かめた。


「ひぃいいい!

 フロントガラスに2発も当たってるよ!

 フロントも少し凹んだし!

 私のボルボッチがぁ!いやぁああああ!」


真鈴はボルボの損傷具合を見て頭を抱えて髪を振り乱して地団太を踏み、泣き叫んだ。

最近真鈴はボルボッチと呼ぶ…たまごっちか?


「まあまあ、真鈴、弾は貫通しなかったし、誰にも当たっていないしフロントガラスを交換してバンパーだって少し板金すれば…。」


俺はフロントガラスの銃弾のひびをガムテープで視界を遮らないように気を付けて隠しながら言った。


「彩斗!そう言う問題じゃ無いじゃん!

 私のボルボッチがまた!

 この前悪鬼を轢き潰した時以上に壊れたんだよ!

 もう~!」

「真鈴、しょうがないさ、大体壊れる前提で、それでもある程度走り続けられると言う事で、ボルボを選んだんだからさ。

 今風の車だったらフロントがめちゃくちゃに壊れて走れなくなってたかもしれないし…。」


真鈴がため息をついた。


「まあね~、この前悪鬼を轢き潰した時みたいにボディの下側を嫌な思いをしながら掃除しなくて済んだからしょうがない…訳無いじゃん!

 ひぃいいいいい!」

「ともかく帰ろう。

 クラも喜朗おじに見せないと。

 凛、クラの様子はどう?」


後席でクラを膝枕している凛が顔を上げた。


「彩斗、クラは大丈夫そうだよ。

 それにしても奴ら…どうやら私達が探りに来て気が付いて撃ったと言うよりもね…新しいライフルが入荷してその試し撃ちって感じだったよ。

 スコープ覗いてたまたまクラを見つけて撃ったと…面白半分に撃ったんだと思うよ。

 殺気がクラが撃たれるまで全然無かったもん。

 いや、クラを撃った時もゲームみたいな感じで撃ったと思うよ。」


フロントバンパーの凹みをチェックしていた真鈴が煙草に火を点けた。


「奴ら…くそ外道だね…。

 遠慮なくぶち殺せば良かったかな…。」

「本当にな…真鈴、俺もそう思うよ。」


俺達はボルボに乗って『ひだまり』に行き、クラは2階で喜朗おじから診察を受けた。

幸い脳内に血種などは無いようだけど、一応岩井テレサの組織の病院に行って精密検査を受けろと喜朗おじは言った。

クラが病院に行き、深刻な損傷が無い事が判り凛はホッとしたようだ。


真鈴はその後すぐに深海オートにボルボを持って行き、修理の手配をして代車の、真鈴がテストで乗ったスターレットで帰って来た。


「彩斗、これ、修理の見積もり。」


暖炉の間で寛ぐ俺に深海オートから帰って来た真鈴が見積書を置いた。


「はいはい…なんかこれ…高くない?フロントガラスこんなにするの?

 しかもガラス、フロントだけじゃなくて全部交換?」

「全部防弾ガラスにするよ。

 深海社長がね、良い在庫があるってさ。

 大口径のライフルでも止めるって言ってたよ。」

「ま、まあね…じゃあ仕方ないかな…だけどエンジンとサスにこんなお金かかる?」

「彩斗、防弾ガラスって凄く重いんだよ。

 だから足回りとね、エンジンも少しいじってトルクをあげる事にしたんだ。」

「はぁ、まあ、仕方ないね。」


俺はため息をついた。

しかし、今は『ひだまり』も繁盛しているし家賃収入もバカにならないほど入って来ているからため息程度で済んで良かったと思った。


やがて千葉の産廃処理場を見に行った明石夫婦とはなちゃん、中野の似非自然食品店を見に行った四郎とリリーも帰って来た。


俺達はクラが銃撃を受けた事を話し、その時に凛が読み取った奴らの思考の事も話した。


「本当にくそ外道な奴らだね~!

 もう、奴ら全員討伐しちゃおうか。」


リリーが唸る様に言い、四郎も頷いた。


「中野の中田とかがやってる似非自然食品店に行った時にな、われもリリーも鼻をつまんだぞ。

 店の中はにせものだらけ、それに何やら変な残留農薬が大量に含まれている中国産の食材を日本の物だと偽ったり…そして人糞交じりの、いや、本当に人糞が確実に混ざった漬物が売られていてな…多分中田と言う奴だろうが、これが自然本来の匂いなんです!とやはり匂いが気になった別のお客に説明していたが、目がどこかの世界に飛んでいたな。

 狂人の目をしておった。

 奴は悪鬼の中でもかなり変態的に狂った部類だ。」

「四郎が言うとおり、絶対に隣にいて欲しくないタイプよ。

 私は奴を即座に始末する事に賛成。」


中田をじかに見た四郎とリリーが嫌悪の表情を浮かべていた。

よほど酷い精神の持ち主なんだろう…。

四郎が隠し撮りした写メを見たが、確かに禍々しい雰囲気満載の狂った奴と一目で判る奴だった。

周りの者皆、こいつを見て変だと思わないのだろうか?


「まぁ、千葉の産廃処理場に俺と圭子とはなちゃんで行ったがな…奴ら処理どころかもっと毒性を増やして周囲にばらまいているんじゃないかと思える程杜撰な事をしていたぞ。

司と忍はあの近所では絶対に遊ばせたくないぞ。

 奴らを全員始末するにはもう証拠はいらんとも思えるほどひどい奴らだがな…ただ、もう少し背後関係を洗った方が良いな。

 これほど大っぴらに悪事を働いて国が大々的に動かんのは少しおかしいとは思う。

 まぁ、食品Gメンが何人か始末されたようだが…

 バックに何か大物が隠れているかも知れんな。」


明石がそう言うと俺達は考え込んでしまった。

よくニュースで色々と悪事がばれるが、それが露見するまでにかなりの時間が掛かっている事が多い。

その間何が起こっていたのか…偉い政治家や官僚が事件が露見しないようにしていた事が非常に多いのだ。

今回も何か偉い奴らが奴らの悪事を隠すのに力を貸しているとか…。


前に四郎が中華料理屋でテレビに映った政治家たちを見て質の悪い悪鬼と変わらない位に心が汚れていてそれが顔に現れていて食欲が無くなると、俺とテレビが見えない席に変わった事を思い出した。

奴らも『お偉い奴』に取り入って悪事を隠す便宜を払ってもらっている可能性が高い。

全くこの国は…。







続く

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