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俺達は本腰を入れて次なる標的スペースエッジの情報収集を始める…そんな中で真鈴と乾の恋愛問題はじわじわと発覚し始めている。

俺と四郎と明石は個室で頭を抱えてしまった。


今の所はまあまあ友好的な、しかし何かもめごとが起きれば恐ろしい結果になりそうな、あの桁外れに強い悪鬼の乾が『ひだまり』常連宣言をして帰って行った事。


そして、恋愛関係では身の回りが真空状態の真鈴の事が好きな人物が現れた事。


今まで真鈴の周りに色恋の話が皆無なので、俺はてっきり真鈴は男性に一切興味が無いと、それよりもジンコに恋愛感情を持っていたのかとさえ思っていた、真鈴はレズビアンじゃないかと今でも思っている。


まぁ、個人の性的志向に何も口を出す気は無いけど、何か厄介な状態になりつつある気がした。


凛が乾の皿を下げに来た。


「凛、乾は帰った?」


俺が尋ねると凛は少し複雑な表情を浮かべた。


「ええ、だけど…。」


凛が言うには、去年のハロウィーンキャンペーンの時から始めた有料サービス、チェキの実費程度のお金で『ひだまり』ウェイトレスが手すきの時に一緒にチェキを撮れると言うサービスの表示に目を付けた乾が、真鈴とジンコと凛と加奈とそれぞれチェキを撮って帰って行ったとの事だった。


凛が個室を出て行った時にはなちゃんが面白くてたまらないと言う感じで言った。


「うきゃきゃきゃ!

 乾は彩斗よりも多少は積極的な奴じゃの!

 そして、やはり策士じゃの!

 恐らくジンコと凛と加奈と撮ったチェキはカモフラージュでどこかで捨てているじゃの!

 絶対に本命の真鈴と撮ったチェキだけ大事に持っているじゃの!」


俺達はため息をついた。

 

死霊屋敷に戻った俺達、何か複雑な気分だ。


「しかし…乾は真鈴が好きか…真鈴はどう思うのかな?」


俺が言うと四郎と明石が考え込んだ。


「まぁ、彩斗同様にわれは真鈴と付き合いが長いが、真鈴の色恋の話は聞いた事が無いな。」

「四郎、たしかに真鈴に男の影は無いね。

 俺は…真鈴が同性愛者でジンコの事が好きなのかもとか思った位だもんね。」

「おいおい、彩斗、四郎、真鈴は男性に興味はあると思うがな。

 リリーがスコルピオ男性メンバーの写メを皆で見た時に真鈴は結構ヒートアップしていたじゃないか。」


確かに明石が言う通り、真鈴は加奈と共に戦死したスコルピオメンバーの響の写メに夢中になっていたのを思い出した。


「どうする?

 この事真鈴に伝える?」


俺が言うと明石は苦笑いを浮かべた。


「彩斗、それは何となく野暮な感じもするな。

 俺達ワイバーンは一蓮托生と言っても恋愛関係にまで干渉はされたくないだろう?

 ましてや、相手が乾で微妙だしな。

 真鈴も乾が真鈴を好きだと言う事を俺達が知っていると知れば多少混乱するかも知れないからな。

 今の所はそっとして置こうぜ。」


そういう訳で乾が真鈴に首ったけだと言う事は暫くは俺と明石と四郎とはなちゃんの秘密と言う事にした。


俺達は乾がもたらしたスペースエッジを名乗る奴らの情報を整理して、岩井テレサにも情報を流し、情報収集の手助けを頼んだ。

しかし、色々な悪鬼がそれぞれ団体を作っている事に驚いた事を岩井テレサに言うと、岩井テレサは電話の向こうで笑っていた。


「彩斗君、結構別物は長い歴史の中で人間社会に溶け込んでいるのよ。

 私達の組織でも把握しきれていない集団がいっぱいいるわよ~。」


なるほど、確かに悪鬼は何百年も何千年も前から存在しているのだからな。


夕食とトレーニングの後、俺達は暖炉の間に集まってスペースエッジの対策会議をした。

今の所情報収集に専念する事になった。

また張り込みの日々になるかも知れないな。

しかし、入念に奴らの身辺を洗わないといざ討伐と言う段階で何か予測不能な存在が顔を出して不測の事態になりかねないからその辺りは手を抜けないのだ。


散会した後で俺とジンコは屋根裏に加奈が済んでいた部屋、今はパソコンやプリンターなど数台運び入れていてちょっとしたコンピュータルームになりつつある部屋に籠ってスペースエッジと中田英雄、スペースエッジが加入している広域暴力団の事を調べた。


「ふぅ、ちょっとコーヒータイムにしようぜ。」

「そうね彩斗、かなり情報を仕入れたわね。

 あの中田とかいう奴は中野のいかさま自然食品店に結構いるみたいね。

 ジャンクヤードと産廃処理場の他に、中野も重点的に調べた方が良いわ~。」


ジンコが首をボキボキと鳴らしてコーヒーを飲み、タバコに火を点けた。


「なあ、ジンコ。」

「なに?彩斗。」

「あのさぁ…真鈴の事だけどさ…。」

「真鈴がどうしたの?」

「真鈴てさ…男に興味無いのかな?」

「え?なんで?」

「あの…真鈴てさ…なんて言うか…あまり男女関係の事言わないからさ…その、男より女の子の方が好きなのかな?とかね…。」


ジンコがコーヒーカップを置いて俺をじっと見た。


「何よ彩斗、ユキちゃんと言う素敵な恋人がいるのに真鈴が気になるの?

 変な事言ってるわ~!」

「いやいやいや!

 この前ユキと話した時に真鈴の事が話題に出てさ…あの…真鈴は実はジンコの事が好きなんじゃないかとか…。」

「…きゃははは!

 あ~コーヒー飲んでなくて良かったわ~!

 吹いちゃいそうよ!

 真鈴ははっきりとヘテロよ。

 私は付き合い長いから知ってるけど、真鈴は高校の時に大恋愛してたもの。

 先輩の男子とね。」

「ああ、そうなんだ…。」

「たぶん真鈴はあの恋愛をまだ引きずっているのかもね。

 時々あの先輩の思いで話するもんね~。

 たぶんまだ好きだと思うわ~。

 あれは…真鈴にとって強烈な恋の季節だったかも…。」

「ああ、そうなんだ。

 その先輩とはどうなったの?」

「彩斗、私が高校の時にある暴力団を潰す為に情報収集をしたの知ってるわよね。

 あの時は真鈴もお母さんのお京さんも手伝ってくれて、でも、真鈴と私も少し怖い思いをしたけどね。

 あの時に先輩と…まあ、色々あってね…。」


そう言うとジンコは遠くを見る目つきになった。


「話せば長いから気が向いた時に話しても良いけど、その時は真鈴もいなきゃね。

 私が何でも話すわけにいかないからね。

 さて、もう少し一服したらもうちょっと調べようよ。

 今回はいくつか調べなきゃいけない所が有るから岩井テレサの調査部の力を借りなきゃいけないかもね。」

「そうだな。」


その後俺とジンコは暫くスペースエッジの事を調べてからそれぞれの部屋に戻った。

俺は真鈴の思いもよらない過去を垣間見た。


そして俺達は岩井テレサの調査部の、そしてスコルピオの助けを得ながらスペースエッジの調査を続けた。

奴らはかなり巧妙に、そして時には思い切った手段を使って秘密を守り続けているようだ。

意外と手強い感じを受けた。

奴らは麻薬や武器の取り引きをメインにしつつ、時折殺人を犯していた。

討伐の対象だ。

野放しには絶対に出来ない。

そしていつどこで討伐をすべきか…。

奴らの人間メンバーをどうするのか、共に情け容赦なく討伐するのか、あの雑居ビル周辺に気付かれる事無く討伐を行えるのか、色々と問題があった。


そして、乾は真鈴がシフトに入っている日には足繫く『ひだまり』に通っていた。

加奈と凛が、乾は真鈴がお目当てなんじゃないかと囁き始めている。

ある日、加奈と凛が俺に、どうやら乾は凄く真鈴が好きなようだけど真鈴はどう思うのか聞いて見ろと言われた。

俺はワイバーンリーダーだからその辺りもしっかりと管理するべきだと、にやにやしながら言われた。

違うよ!こいつら、加奈も凛もワイバーンがどうのこうのよりもこういうコイバナみたいな事に興味津々なだけなんだよ!

若い女はこういう匂いを嗅ぐとピラニアみたいに食いついて来るんだよ!


やれやれ、気楽な奴らだ。


こういう変なラブドラマみたいな展開は苦手だ。






続く




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