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俺達は乾からスペースエッジの情報を聞き出した…乾は『ひだまり』の常連になるかも知れない…なぜならば…。

「景行、俺達も行くよ。

 いくら乾でもここでいきなり暴れるような派手な真似はしないと思う。」


明石は暫く俺を見て、自分を落ち着かせるように深呼吸を一つした。


「まぁ、そうだな。

 彩斗ははなちゃんを抱いて、俺も左文字は置いて行くから四郎もサーベルを置いて行けよ。

 いざとなったら『ひだまり』の壁の武器を使えば良いさ。」

「うむ、そうだな景行。

 あの中はそこそこ一般人もいるから奴も俺達を見て早まった真似はしないだろうしな。」


はなちゃんを抱いた俺と明石と四郎は『ひだまり』に入っていった。

スケベヲタク死霊達がテラス席に一塊になって怯えた表情を俺達に向けていた。


雪が降ったおかげでいつもよりお客は少ないが、それでもほぼ客席は埋まっていた。

真鈴と加奈、そして応援のスコルピオの女性メンバーが戸惑った感じで俺達を迎えた。

俺達は落ち着く様にと彼女達に頷いて見せた。


乾は『ひだまり』特製イチゴ特盛ショートケーキを平らげて、チーズタルトにとりかかっていた。

そして俺達に笑顔を向けて片手を小さく振った。

自分の強さを充分知った上で憎らしいほど落ち着いている。

明石が俺に目配せして、俺はキッチンに行って喜朗おじに奥の個室が開いているか尋ねた。

喜朗おじもクラもすぐ手が届くところにUMPサブマシンガンとオリジンショットガン、凶悪な棘付きメイス、大振りなマチェットなどを置いていた。

やはり乾を警戒している。


しかし、ここで戦いになれば何人もの無関係な人達が巻き添えになるかも知れないし、破滅的に俺達の事が世間にばれるだろう。


「よう、彩斗、いきなり奴が来てびっくりしたぞ。

 一応の備えはしたがどうやら暴れる気配が無いから今の所は一安心だがな。

 クラ達と一応の備えはしているんだが…加奈達にも、もしもの時の為に奴から目を離さない様に、すぐに壁の武器を使えるように立ち位置に気を配っておけと伝えてある。

 奥の個室は空いてるぞ。

 確かに奴と話すなら個室が良いな。

 あそこなら何かあった時に俺達で総攻撃が出来る。」

「判った喜朗おじ、サンキュー。」


店内に戻ると4人掛けの席に座っている乾の向かいに明石と四郎が座っていた。

俺が明石に頷くと、明石は乾に親指で奥の個室を差した。

乾は苦笑いを浮かべて頭を振ると残りのチーズタルトを口に放り込んでコーヒーカップを手に立ち上がり明石達についてきた。

乾は個室の円卓に腰を下ろすとコーヒーの残りを飲み干した。


「いや~お前達は上手い事あの死霊どもを手懐けたようだな~。」


乾はニヤニヤしながら言った。

俺は少しむっとした。

あのスケベヲタク死霊軍団は、今はもう俺達の立派な仲間なんだ。


「手懐けたんじゃない。

 互いに助け合っているんだ。

 あいつらをあまり脅かすな。

 スカートの中を覗く以外はとても良い奴らなんだ。」


乾は片方の眉を上げた。


「ほう、そうなのか。

 それは悪かったな。

 せっかくの絶景が奴らのおかげで少し見えにくくなっていたからな。

 これからは気を付けるとするよ。」

「これからは…お前はまた来るつもりか?」


四郎がいささか語気を強めて言った。


「なんだ、そんなに力むな。

 お前達が清算のスケジュールを進めない限り俺は邪魔しないよ。

 ここはコーヒーも食い物も旨いし…それに…あの子達もけなげで可愛いしな。

 客としてくる分には構わないだろう?」


制服に着替えたジンコと凛が注文を取りに来た。

俺達はコーヒーを『ひだまり』特製イチゴ特盛ショートケーキを頼んだ。

呆れた事に乾もコーヒーと『ひだまり』特製イチゴ特盛ショートケーキを追加で頼んだ。


乾はさりげなく凛とジンコの脚を鑑賞して笑顔になった。

明石は小さくため息をついたが、実は俺も四郎も明石も横目でジンコと凛の足を密かに鑑賞していた。


ジンコと凛が個室を出て行くと明石が身を乗り出した。


「ここに客としてくるのは全く構わんが、今後はスケベヲタク死霊達をむやみに脅すな。

 彩斗が言うようにあいつらは大事な仲間なんだ。

 それだけは気を付けろ。」

「ああ、判ったよ。

 ただし今後はあいつらにあまり俺の視線を遮るなと伝えてくれ。

 そうすれば俺は大人しくここのコーヒーと食い物を楽しむよ。」

「判った伝えてくる。

 大人しくここで寛ぐ分には歓迎するが絶対に暴れたりするなよ。」


明石が念を押し、乾が頷くと、明石は俺に顔を向けた。


「彩斗、ちょっとあいつらを安心させてやってくれるか?」


俺は立ち上がり個室を抜けて店内を突っ切り心配そうに店内を覗き込んでいるスケベヲタク死霊達の所に行った。


「彩斗首領!」

「彩斗将軍!」

「彩斗総統!あいつは…。」

「…あのな、俺の事を呼ぶ時は…まぁ良い。

 乾と話はついたぞ、今後奴が来てもお前達を脅すような事は無い。」


集まったスケベヲタク死霊達は胸を撫で下ろした。


「しかし、乾と協定を結んだからそれをお前達も守れ。」

「彩斗首領、協定とは?」

「今後はなるべく乾が加奈達の…乾と『俺』が加奈達の脚を鑑賞する時はなるべく『俺』と乾の視線を遮らないように気を付けろ。

 それを守れば乾は大人しくするそうだからな。

 いいか、今後乾と『俺』が加奈達の脚を鑑賞する時は位置に気を付けろよ。」

「判ったでござる!」

「吾輩も了解だ!」

「僕たちも気を付けるよ!」

「よし!お前達、外は寒かっただろう。

 中に入って楽しめ。」


俺がそう言うとスケベヲタク死霊軍団は歓声を上げて怒涛のように俺の身体を通り抜けて店内になだれ込んだ。

やれやれと思いながら俺は乾にかこつけて俺の視線も遮らない様に言った見事な計略に俺を褒めたくなった。

これで俺も邪魔者無しで充分あのエロ可愛い制服から伸びた美しい脚を鑑賞できる、いひひひひ。

あ?これ位リーダーの特権だろう?

ユキには言うなよ!

絶対にユキには言わないでくれ!

これは浮気なんかじゃない!

男のロマンなんだよ!

男のファンタジーなんだよ!


俺は何かに弁解をして再びスケベヲタク使用軍団で賑やかになった店内を突っ切り個室に戻った。


個室の戻った俺達は『ひだまり』特製イチゴ特盛ショートケーキをコーヒーを楽しんだ。


「ところで乾、お前の近所で質な悪い悪鬼と人間の集団がいるのだが…何か知っているか?」


四郎が尋ねた。


「ああ、スペースエッジとか言う会社だろう?

 知ってるよ。

 あれはな、広域暴力団の内の一つの組をな、悪鬼が巧妙にのっとったんだ。

 上部組織の汚れ仕事をこなして結構重宝されていると言う事だがな。

 上部組織はあの組が悪鬼に乗っ取られている事は知らない。

 なんか色々とな表向きは産廃の処理場やスクラップヤードを経営しているが、その裏では麻薬や武器の取引をして景気が良いらしいな。」


乾は世間話の様に言った。


「乾、お前はそこまで知っていて…。」

「俺の管轄外だ。」


俺と明石と四郎は顔を見合わせた。

確かに乾は、乾達は清算の日のスケジュールを管理する以外他の事に干渉しないと言っていたのを思い出した。


真鈴がお冷を注ぎに来た。

乾を警戒しながらも表面的には笑顔で水を注いだ。

乾は真鈴に頭を下げてありがとうと言った。

その時に俺は何か違和感を感じた。

それが何かはその時は良く判らなかった。


「さて、乾、ここに来ることは構わない、しかしだな、なんと言うかこれは取引の一環として、あのスペースエッジの情報をもう少し教えてくれないか?

 お前だって近くにあんなのが居たら一応は調べたんだろう?」


明石が言うと乾は頷いた。


「まぁ、犬でも腰を下ろす前に3回廻ると言うからな。

 一応は調べたぞ、サービスしてやろう。

 地図はあるか?」


俺達が持って来た地図に乾はスペースエッジが経営している産廃処理場とジャンクヤード、そしてスペースエッジの表向きの役員名、そして表に出て来ない、裏で組織を牛耳るリーダー悪鬼の名前と住所を教えてくれた。

リーダー悪鬼の名前は中田英雄なかたひでおという奴だった。

奴はその他にも中野区に酷いまがい物が大半のいかさま自然食品の店などを経営させて暴利を得ていた。

食品Gメンなどが内偵に入っているらしいが中々尻尾を掴ませないと言う事だった。

実際に内偵に入った食品Gメンの何人かを事故に見せかけるか拉致して餌食にしているとの事だった。


「俺が知っている事はそこまでだ。

 おっと、今後は俺の力を貸せなんて言うなよ。

 なにせ管轄外だからな。

 そろそろずらかるぜ。

 ごちそうさま。」


そう言って乾はかなり注文した伝票を持って出て行った。

無意識に緊張していたのだろうか、俺はどっと肩の力が抜けた。


「やれやれ、何なんだあいつは…良く判らないな…。」


明石が煙草に火を点けながらぼやいた。

四郎の同意に頷きながら煙草に火を点けた。


「うむ、しかし、われ達もスペースエッジの情報をかなり仕入れたからこれで良しと言う事だな。」

「奴はまた来るとか言ってたけど…常連になるつもりかな?」


俺が言うとはなちゃんは手を上げた。


「また来るに決まっておろうが!

 奴は絶対に常連になるじゃの!

 きっと特定の日には足しげく通うじゃろうの~!」

「なんだい?はなちゃん?

 その特定の日ってさ。」

「なんじゃ、お前達気が付かないのじゃの?

 奴はかなりお気に入りの子ができたじゃの!

 きっとその子がいる時はここに来るじゃの!」


俺と明石と四郎は顔を見合わせてからはなちゃんを見た。

俺がはなちゃんに尋ねた。


「はなちゃん…誰?そのお気に入りの子ってさ。」


はなちゃんが手を上げて言った。


「お前ら判らんのか?

 まぁ、奴は巧妙に己の心模様を隠すからじゃの…奴の、乾のお気に入りはの…真鈴じゃの!

 もう、お気に入りを通り越して乾は真鈴に首ったけじゃの!

 奴は千年近く生きているとは思うが、色恋に関してはえげつないほど奥手じゃの!

 彩斗並みの2回と4分の1野郎かも知れぬじゃの!うきゃきゃきゃきゃ!」








続く

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