04
「──ほう、此処が貴様のラボか」
魔王は町から少し離れた場所のゴミの山の中程にある建物内に進み入り、そう感想をもらす。対して、メカニックと名乗った少女は、
「此処は表向きの建物さ。本体はこっちだ」
そういや、メカニックには建物内をずんずんと奥へと進み、ポチッと壁にあるボタンを押す。
──ゴゴゴゴゴ……。
振動が響き、建物が崩れる。そして、下から姿を現したのは、
「地上移動要塞だ!」
まるで戦闘機のような尖った鼻先に、ずんぐりとした胴体。メカニックはその上のハッチを開き中へ。魔王もまた、メカニックに続いてハッチの中へと入っていく。
ハッチが閉まると、辺りは真っ暗闇に包まれるが、
──ブルルル……。
というエンジン音と共に、室内に明かりが点いていく。
「どうよ、まだまだ未完成だけど、ロボットドックが二つに、操縦席と乗組員の部屋は六つを保有する、この地上移動要塞は!」
メカニックの自慢張りの態度に、魔王は、
「それで、ロボットはどこだ?」
「そう慌てない。ちゃんと用意してあるぜ。──っと、その前にコックピットは如何する?」
「……うむ、至ってシンプルな複座式で頼む」
「そうかい。なら、そのままロボットのコックピットに乗ってくれ」
そう言って、メカニックは魔王の目の前にある“蒼い塊”を指差した。
「……これが、ロボット?」
「まあまあ、騙されたと思って乗ってみなよ。動力は魔力で動く、アンタの為にあるようなシロモノさ」
メカニックに促され、“蒼い塊”に近付く魔王。すると、“蒼い塊”が独りでに開き、中には複座式のコックピットがあった。
魔王は“蒼い塊”の中に入り、座席につく。すると、“蒼い塊”が俄に変化をみせる。ニョキッと手足と頭部が生えたのだ。
「イイね。それじゃ、コックピットのハッチを閉めて、早速、チュートリアルと行こうじゃないか!」
──さて、暫く基本動作を確認した魔王。案外と操縦は難しく、歩いてはコケを何度も繰り返して、漸く普通に立てるようになった。
「さあさあ、此処からはスパルタだよ。」
メカニックは、地上移動要塞を動かして、宇宙港から離れた土地に移動。
「お! いいカモ、発見!」
そこには、自称正義でも悪でもなく、所謂、逸れモノがいた。そして、地上要塞を彼らの横に付けると、
「へい! そこの兄ちゃんら! 的になれよ!」
そう告げ、
「おら、魔王ちゃん、出番だぞ!」
「よし、きた!」
魔王はロボットを操り、颯爽と地上要塞から飛び降りる。
「さあ、まずは遠距離攻撃だ!」
「……おい、コイツは武器なんて何一つ──」
「いいから、遠距離攻撃をするイメージをしてみろ」
魔王はしぶしぶと、遠距離攻撃のイメージをする。すると、ロボットの体から一部が剥がれ、銃の形になった。
「よ、いいよ。そいつで、奴らを撃ってみ」
ロボットの腕の中にある銃を確かめ、魔王はロボットの銃を構えて、ファイヤ! ファイヤ! ファイヤ!
──ガンッ、ガンッ、ガンッ! ドッゴーン!
「いいよ、いいよ! お次は、近接戦だ。さっきと同じく近接戦のイメージをしな!」
メカニックの言葉に魔王は今度は近接戦をイメージ。すると、ロボットが手にした武器が銃から剣へ。そのまま、一体、二体と斬り伏せ、三体目に斬りかかろうとしたところで、サッと躱されてしまう。
「ふむ、一筋縄ではいかぬか」
「おい、折角だ。そいつを鹵獲するぞ!」
「は? 鹵獲だと?」
「おうよ! ぶっちゃけ、いまはロボットよりもお前のの方が圧倒的に強いからな!」
「…………」
衝撃の事実に、魔王は唖然となる。彼女はぐぬぬと拳を握り締め、
「ああ、そうかい。わかったよ」
ロボットの操縦席のハッチを開き。魔力でもって空に浮かび、飛翔!
敵のロボットの搭乗口に張り付くと、“ガン!”と一発。さらに、“ガン! ガン! ガン!”と、瞬く間にハッチを開き、中にいた男をむんずとと掴み出した。
そして、“グギッ!”と首をへし折り、投げ棄てたのだった。




