美涼と初めてのデート
遅くなってしまいすみません!m(__)m
翌日、7月20日月曜日。
俺は美涼との待ち合わせ場所である駅前に立っていた。
昨日と同じ場所だ。
約束の時間まではまだ30分以上あるっていうのに、心臓の鼓動がやけに早い気がする。
緊張しているのが自分でもわかった。
なぜなら、これから俺は美涼と普通のデートをするからだ。
俺には、所謂普通のデートってやつの経験がない。
女と飯を食いに行ったり、街をぶらついたりしたことはあっても、それらはすべてその後に控えるやり目的で、だ。
だが、今日の目的はそんなものじゃない。
目的が違ってもデートって意味では同じ、と思うかもしれないが、俺自身の気持ちが全然違うのだ。
今日は美涼に目一杯楽しんでもらいたい。そして身勝手だが、俺の想いをわかってもらいたい。
だからこその緊張だった。
そういう意味では、昨日あのまま勢いに任せてデートに行かなくてよかったのかもしれない。
家に帰ってから、スマホで色々調べることができたからな。
そうして、呼吸を深くして緊張を解しながら、調べた内容を思い返していたときだ。
「お、おはよう、玲旺君」
まだ約束の時間よりも前だというのに、美涼がやって来たようで、声の方へと視線を向けた俺は、そこで思わず固まってしまった。
美涼は、小花柄のノースリーブワンピースに、薄手のカーディガンを着ていた。
髪型もいつものポニーテールではなく、ハーフアップにした青髪にシースルーのリボンが付けられている。
率直に言って、めちゃくちゃ可愛かった。
「ぅ……、似合ってない、かな?」
俺が美涼を見つめたまま何も言わないせいで、あらぬ勘違いをさせてしまったようだ。
「ちげえよ。その逆だ。美涼が可愛くて見惚れちまってた。服も髪型もすげー似合ってるぜ」
「ぇ…あ……、~~~~っ、……ありがとう」
俺の飾らない言葉を嘘ではないと思ってくれたのか、はにかむ美涼だったが、その口元は安心したかのように綻んでいた。
「さ、行こうぜ?」
俺は美涼の手を握った。
「え?あ、ちょ…玲旺君!?今日はデートだけのはずだよ!?」
「ああ。だから、だよ。今日は俺に付き合ってくれるんだろ?俺は美涼と手を繋いでデートしたいからな」
「も、もう!昨日から本当に強引なんだから玲旺君は。今日の目的忘れてないよね?今日だけだからね!?」
「おう。ありがとよ」
恥ずかしがりながらも美涼は受け入れてくれ、俺達は歩き始めた。
それからは正に普通のデートと言えるものだったと思う。
ウインドウショッピングをしたり、ランチを楽しんだり、ゲームセンターでクレーンゲームをしたり―――。
最初こそ、お互いに緊張があったのか、若干ぎこちなくなってしまったが、徐々に美涼の笑顔が増えていったので、楽しんでくれていたとは思う。
それに、デート中、美涼は自分のことを色々と話してくれた。
小さい頃から可愛いモノが好きで、今は『たれいぬ』というリラックス系のキャラクターが一番のお気に入りだということ。
本当に好きなんだとわかる笑顔だった。
ただ、その『たれいぬ』を見せてもらったのだが、かなり見た目ブサイクというか、各パーツのバランスが崩れてテロんとしている犬のような何か、だった……。
他にも、王子様とお姫様が幸せになる物語が好きだったこと。
恥ずかしそうに語る美涼を見れば、言われなくても今でも好きなんだろうなとわかって可愛かった。
そして、小学校で児童会、中学からも生徒会に入って頑張ってきた活動のこと。
きっと誇りを持ってやってきたんだろう。
このときの美涼は眩しいくらい輝いて見えた。
ただ、小学生の頃に、当時、身長が高く、髪を短くしていたからあまり女の子らしくなくて、傷つく言葉をぶつけられたこともあったこと。
すごく悲しそうな表情をしていた美涼が、今でもそのときのことに傷ついているようで、俺の胸まで痛くなった。
また、中学生の頃から、自分には恋愛なんて無理だとずっと思っていたこと。
それなのに、慎也に押されて、付き合ってしまったのをあの事件から反省し続けていること。
美涼が自嘲するような、本当にもう諦めてしまったかのような笑みを浮かべて語るから、俺は必死に、美涼は悪くないと言い聞かせた。
これらだけじゃなく、もっと色々と話してくれて、美涼を傷つけた奴は許せないが、美涼のことをたくさん知れたのは本当によかった。
ただ、そのいくつかの内容については、だから俺を受け入れるつもりはない、もう誰とも付き合うつもりはないと言っているように俺には聞こえた。
まるでそんな俺の考えを証明するかのように、デートの最初から最後まで、美涼はどこか一歩引いているというか、俺との間に見えない壁を作っているような感じがしたのだ。
そうして夕方になり、俺達は駅前に戻ってきた。
デートはこれでお終い、ということだ。
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