今日はダメ
「なっ……い、いきなり何を言うんだ君は!?君には望愛がいるだろう!?」
「そうだな。けど俺は、美涼のことも好きになっちまったんだ」
「っ、ふ、ふ、ふざけるな!そんなの認められる訳わないだろ!」
「ふざけてねえよ。誰に認められるとかも関係ねえ。だから美涼の気持ちを教えてくれ」
「ぅ……うぅ……そ、そんな目で見るな。君が私みたいな女をす、好きになるなんて、そんなことある訳がない。そうだ。ある訳がないんだ。なんだ?また遊ぶ女が欲しくなったのか?最低だな、君は!」
怒りをぶつけるように美涼は罵った。
だが、俺としては、最低だのなんだの言われたことなんかよりも、よっぽど許せない言葉があった。
「美涼。前に言ったよな?私みたい、なんて言い方はよせって。美涼は美人でスタイルもよくって、真面目で、頑張り屋だ。それに、頭が良くて、厳しいけど優しくて、料理もうまい。おまけにすげー強い、魅力的な女なんだからよ」
「ぁ……な……あ……。わ、わかった!そこは私が悪かったから、それ以上言わないで!」
美涼は顔を両手で覆ってしまった。
耳が赤くなっているのは丸見えなのだが、俺は、美涼の両手を優しく包み込むように掴むと、顔から退かして下げさせた。
「それとな、遊びのつもりなんてこれっぽっちもねえ。俺は本気だ」
再び美涼の瞳を見つめながら告げる。
美涼は涙目で、顔を真っ赤にしていた。
「~~~~っ……ズルい。……玲旺君はズルいよ」
「わりい」
「……私、今日ずっと頑張ってたんだよ?いっぱい考えて、こうするのが一番いいって。だから私……。それなのに、こんな……。本当にズルいよ……」
こっちの胸が苦しくなるほど、美涼の声も表情も、悲痛なものだった。
だが、明らかにさっきまでの美涼とは違う。
準備したものじゃない、素の美涼が出てきている気がする。
「ああ。本当にごめんな。全部俺が悪いんだ。……それでも、美涼は俺をどう思ってるか、答えてくれねえか?」
だから俺は、本気で悪いと思いながらも、あらためて尋ねた。
「私、は……。そんなの、私だって……!っ、ううん、やっぱりダメ。そんなこと答えられないよ」
「……ならよ、これからの時間を俺にくれねえか?今からデートしようぜ?俺が美涼のことをどれだけ本気で好きか、わかってもらいてえからさ。その上で答えを―――」
「い、今から!?……ダメ。今日は絶対にダメ」
目を見開いた美涼だったが、少し何かを考える様子を見せると、首を横に振った。
「なんか予定でもあるのか?」
「そういう訳じゃないけど……。と、とにかく今日はダメなの!」
美涼は頑なに拒絶を示す。
「そうか……」
どうしたらいい?後、他に何ができる?
考えろ。考えろ、俺!
俺が必死に思考を巡らせていると―――。
「……明日なら、いいよ」
美涼がぽつりと呟いた。
「明日?」
「うん……。デート、明日なら、いいよ?」
「マジか!それなら、明日、美涼の時間を俺にくれ」
美涼はこくりと頷いてくれた。
よかった。これで第一関門突破だ。っていうより、美涼が代替案を出してくれたおかげで次に繋がったって感じだな。
勝負は明日だ。
「……でも、もしそのデートで、玲旺君の本気っていうのが伝わらなかったら、玲旺君はやっぱり遊ぶ女が欲しいだけとしか思えなかったら、どうするつもりなの?」
「そうだな……。そんときは、最低のクズ野郎な俺のこと、投げ飛ばしてくれて構わないぜ?あの合気道の技でよ」
「っ、……わかった。本当にやるからね?謝ったって許してあげないんだからね?」
「おう」
こうして俺達は明日の約束をして、この日は別れるのだった。
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