違和感のある美涼
昼過ぎに起きた望愛は案の定、筋肉痛になっていた。
特に腰回りと太ももがヤバいらしい。
ということで、少しゆっくり過ごすことにしたのだが―――。
すぅぅぅ~………はぁぁぁ~………、すぅぅぅ~………はぁぁぁ~………。
もうね、吹っ切れちまったのか、隠す気もない様子で俺に抱きついては首とか胸とかに顔を押し付けて、思い切り深呼吸するんだよ。
「えへへ」
で、とろんとした声で笑ってやがる。
もう確定だ。
望愛は匂いフェチだ。
間違いねえ。
俺の精神安定上、疑いの余地なくはっきりとわかってよかったかもしれない。
ずっと落ち着かない感じがあったが、性癖ならもうこれ以上気にしても仕方がないし、諦めもつくからな。
もうわざわざ余計なことは言わず、好きにさせてやるのが優しさってもんだろう。
そうして、夕方までのんびりと過ごし、ついさっき、望愛を家まで送り、帰ってきたところだ。
一つ息を吐いて、俺は美涼にメッセージを送る。
『話したいことがあるんだ。明日時間をくれないか?』
返信はすぐに来た。
待ち合わせの時間と場所を指定するだけの簡潔なもの。
話したいことって何?とか聞いてくるかと思ったが、そんなのは何もなかった。
もしかしたら美涼はその内容に察しがついているのかもしれない。
けど、そんなのは関係ねえ。
明日、望愛とのことを美涼に話す。
少なくとも、その覚悟はもうしたんだから。
そして、翌日。
指定された10時に、指定された駅前に行くと、美涼はすでに待っていた。
「わりい。待たせちまったか?」
俺は駆け寄って声をかける。
「いいや、私もさっき来たところだよ」
「そうか」
「あの後、望愛は大丈夫だったかい?」
「……ああ」
なんだ?
はっきりとはわからねえが、今日の美涼は何か違和感がある。
凛々しい雰囲気で機嫌は悪そうに見えないし、服装だって美涼によく似合う大人っぽいパンツスタイルだ。
見た目は至って普通だってのに、いったい何が引っかかってる?
「それはよかった。それじゃあ、君の話を聞くにもここでは暑いからな。どこかお店に入ろうか?」
「そうだな」
そうして俺達は駅前のカフェに入った。
店内は適度に空いていて、周りに人がいない席に座ることができた。
「それで?話っていうのは何かな?」
アイスティーを一口飲んだ美涼が、早速尋ねてきた。
「……望愛と、付き合うことになった」
「…………なんだ。そんなことか。今さらだな」
美涼は冷静に返してきた。
だが、テーブルの上に置かれた手は強く握られており、小刻みに震えているのが見て取れる。
「私としては、いつになったら付き合うのかとずっと思っていたぞ?」
もしかすると、冷静、ではないのかもしれない。
美涼はこみ上げてくる感情を抑え込んでいるのではないか。
「そうか」
その感情がなんなのかまでは俺にはわからないが、美涼の言葉を聞いていたら、なぜか胸の辺りが苦しくなった。
「どうしてそんな顔をするんだ?よかったじゃないか。ようやく気持ちを伝え合って、関係を進めることができたんだから」
「美涼……」
「というか、これくらいのこと、メッセージで十分だっただろう?君達が付き合い始めようと私には関係のないことだしな。君の話がこれで終わりなら私はもう帰らせてもらうよ」
「っ、待ってくれ、美涼!」
アイスティーもまだ半分以上残っているのに、立ち去ろうとした美涼を俺は咄嗟に引き留めていた。
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