ヒロイン達には気づかれていた
本日、[週間]現実世界(恋愛) 連載中 1位 になりました!読者の皆様、本当にありがとうございます!!!m(__)m週間で1位なんて、もちろん初めてのことで、嬉し過ぎます(><)これからも頑張ります!
夕食後、望愛と美涼は片づけまで済ませてくれた。
なんと言うか、俺ん家だってのに、至れり尽くせりってやつだ。
それから三人でまったりと過ごし、いい時間になったため、お開きという流れになった。
「なら送ってくぜ。つっても、美涼は駅までになっちまうが……」
「大丈夫よ。私だけ家まで送ってもらうのは悪いし、まだ明るいもの」
確かに、外は夏特有の明るさがまだあったが、時間としては夜と言っていい。
「美味い飯食わせてもらったからよ。こんくらいはさせてくれ」
「望愛。せっかく玲旺君がこう言ってくれてるんだし、送ってもらおうよ。私も一緒に望愛のこと送るから。ね?」
美涼がこっちを援護するのは正直ちょっと意外だったが、こうして俺達は三人で部屋を出るのだった。
ということで、先に望愛を家まで送り届け、今は美涼を駅に送っているところだ。
「今日は楽しかったなぁ。それに、あんなにドキドキしたのは初めてだったよ。でも、嬉しかったな。お願いを聞いてくれてありがとうね、玲旺君」
「ま、言われたときはちょっと驚いたが、約束だったしな。俺の方こそ、あんな美味い飯食わせてもらえてありがたかったぜ。美涼の腕は弁当でわかってたつもりだったが、やっぱできたては別格だな」
「そう言ってもらえると嬉しいよ。お礼だし、今日は一段と気持ちを込めて作ったからね」
「そりゃ、美味い訳だな」
それからも、俺達は笑って今日の話をしながら歩いていたのだが、ふと、互いに口を開いていない空白の間が訪れた。
「……ねえ、玲旺君?」
その沈黙を破ったのは美涼だ。
だが、先ほどまでの楽しげな雰囲気とは少々違っていた。
「ん?」
「望愛が言ってた伝えたいことが何か、玲旺君はわかってるよね?」
「なんだ?やっぱ見てたのか?」
「だ、だって、二人でいきなりあんなすごい格好し始めるんだから、それは気になっちゃうよ」
なるほどな……。
「まあ、それもそうか。……で、それが訊きたくて、俺がお前らを送るって言ったとき乗り気だったのか?」
「そう…、なのかな?自分でもわからないかも。ごめんね?」
「謝ることはねえよ。……たぶんだが、一応わかってるつもりだ」
「そう、だよね。あのね、私が言うのも変だってことは十分わかってるんだけど、それを理由に望愛から離れていったりしないであげてね?」
「何言ってんだ、いきなり?」
「玲旺君は、望愛のこと自分から遠ざけようとしてたんだよね?望愛から聞いてたんだ。望愛はずっとそれを気にして、不安に思ってたんだよ?ううん、望愛だけじゃない。私のことだって……。でも、最近は私達のこと受け入れてくれてた、よね?」
「お前……」
気づかれていた?
そんなわかりやすい態度を取っていたつもりはなかった。
けど、漫画では不幸になってしまう望愛や美涼が、不幸にする側の悪役である俺に関わってもいいことは何もない、どころかよくないとずっと思っていたのは事実で……。
けど、こいつらといることを段々悪くないと思うようになって、楽しいと感じるようになっていった。
「驚いたかな?でも、それくらい、望愛はもちろん、私にだってわかるよ。望愛はね、すごく勇気を振り絞ったと思うんだ。本当に、すごく。私にはそれがよくわかるんだよ。だからね、望愛がたとえ何を伝えても、また私達を遠ざけるようにはなってほしくないんだ。それは寂し過ぎるから……」
俺だって、今さらこいつらを遠ざけるなんて、もう考えたくはない。
だから―――。
「……今さら、そんなことするつもりはねえよ。望愛の言葉もしっかり受け止めるから」
「そ、そっか。ありがとう、玲旺君。って、私がお礼を言うのも変かな?でも本当によかったよ。望愛は私にとって本当に大切な友達だから。私も、それまでにはちゃんと自分の気持ちを整理しておくからさ。望愛の方が先だったんだから仕方な―――って、私何言ってるんだろ!?意味わからないよね!?ごめん、急に訳わからないこと言い出しちゃって。この話はもうお終い。だから今のは忘れて?」
「美涼……、俺は……」
美涼の本気で慌てた様子から、安心して、うっかり出てきてしまった本音、俺にはそう思えた。
そして、意味がわからないほど鈍感でもねえつもりだ。
だけど、今の俺にはまだ、なんて言葉をかければいいのかはわからなかった。
「そう言えば、もう来週の今は夏休みだね。今年の一学期は色々あったから、なんだかあっという間だった気がするよ」
美涼は本当にもう今の話を続ける気はないようで、全然違う話題を振ってきた。
「……俺も、毎日学校に行くようになってからは、すげー早く感じたな」
「ふふっ、玲旺君は、ずっとサボってばかりだったからね」
俺も美涼の変えた話題に乗っかり、駅に着くまで他愛のない話を続けたのだった。
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