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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-2 ふたつの因縁

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376.ふたりの夜

「あなたにも多少の好き嫌いがあったのね」

「そのまま濃すぎる野菜や果物はどうしていいかわからなくなる。飲めない、というわけではないのだが」


 ロダンはほとんど何でも食べて、好き嫌いはなかったように思った。

 評価の高低はあるにしても。


「ウォリスにいた時も、あまり好き嫌いはないように思えたのに」

「根菜の類は、かなり戸惑ったぞ」


 チーズ&クラッカーを食べながら、ロダンが述懐する。


「初めて聞いた。ウォリスには野菜が多いけど……根菜、苦手だった?」


 山に囲まれた内陸国のウォリスには、野菜料理がとにかく多い。もちろん根菜料理も多い。


「バードラックの茹でて、そのままの料理は特殊だ」

「ああ……」


 バードラックとはゴボウだ。

 前世の記憶にあるゴボウとはちょっと味わいが違うけれど細長く、土に埋まっている。

 ので、私はゴボウの仲間だと思っているのだけど。


「マズかったわけじゃないでしょ?」

「うむ……味は複雑で、苦味があって悪くはなかったが。こう、ビジュアル的にな」

「ロダンの美的センスには釣り合わなかったと」

「あれならそのまま出さず、切ってもいいような」


 ふふりとエミリアは微笑んだ。


 留学時代、ロダンは様々なカントリーギャップに苦しんだと思う。

 その中でまさかゴボウが出てくるとは。


「根菜類もそのまま食べるのが、ウォリスでは上等と見なされているからね〜」

「そこは後々に理解した。だからストロベリージュースも……だ」

「あー、そのまま過ぎるってことね。確かに」


 イセルナーレでは果物や野菜は香辛料や調味料を使い、形を変えて調理することが多い。


 対してウォリスにおける野菜は結構シンプルだ。エミリアも実家で根菜類を洗って切った……ぐらいで食べたことがかなりある。


「ふー……」


 ワインを飲んでいるといい気分になってくる。エミリアが椅子の上で脱力していると、ロダンが椅子を寄せた。


「疲れたか」

「シャレス殿との話はさすがにね」


 シャレスがいたときよりも、遥かにロダンとの距離が近くなった。


 よしよし。いいワインにロダンが近くにいて、エミリアは上機嫌になる。


 それから他愛のない話をいくつかして――大学の話になった。


「最近ね、食いしん坊の動物が大学に紛れ込んでいるみたいなの」

「ほう、面白いな」

「ロダンのほうでそんな話は聞く?」

「いいや。まぁ、ネズミや野良猫程度の話は常にあるが……」

「実は今夜、セリスが大学に行って調べるみたいなんだけど。進展があるかしら――」



 一方、まだ夜の始まりの時間。

 セリスはフォードとルルを連れて、大学に来ていた。


「眠くありませんか、フォード君」

「うん! 全然眠くないよー!」


 セリスと手を繋ぎながらフォードが頷く。今日はエミリアの許可のもと、ふたりを連れてきていた。


「きゅい」


 フォードの背にあるバッグの中に、ルルも収まっている。

 その目は若干、とろんとしていた。


「ルルちゃん、頑張ってください。野生動物を見つけるのなら、ルルちゃんの視力が頼りなんですから」

「きゅ……!」


 ルルの視力はペンギン特別視力であり、かなり良好。

 その上、人間にはわからない微細な違い(肉の細かい焼き加減さえ)を判別できる。


 ただ、なのでふたりに来てもらい……夜の大学へとやってきたわけだ。


 食いしん坊動物は昼だと警戒心が強く、見つからない。少なくとも単純な罠にはかからなかった。


 なので、夜。向こうのフィールドで調べてやろう――ということなのだ。


「さて、少しは成果を出さないとですね〜」


 眼鏡をくいっとしながら、セリスは夜の大学へと進んでいく。


 とりあえずは学食の近くから調べてみようか。

例の動物はルルではありませんので……!


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― 新着の感想 ―
最初子供優先だったのがどんどん男優先に変わっていく主人公がリアルで胸が痛くなる。
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