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【コミカライズ】夫に愛されなかった公爵夫人の離婚調停  作者: りょうと かえ
4-2 ふたつの因縁

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374/377

374.下準備③

 それは逆転の発想。

 モーガンの遺産を破壊するための計画に、モーガンの遺産の情報を使う。


「なるほどな、一案ではある」


 しかしやはり、シャレスは良い顔をしなかった。渋い顔で頷くだけだ。


 ロダンもやや目を見開いて、驚いているようだった。


「盲点ではある。あえてこちらから釣り出すのか……」

「どのような経緯で杯がセリド家にあるのか、私もそれは知りません。しかしアレが秘匿された儀式に用いられていること、当主と近しい人間しか知らないことを考え合わせると――モーガンそのものが関わっているかと」


 そこで扉がノックされる。絶妙なタイミングで料理の皿がやってきた。


 チーズやソーセージの盛り合わせ、小皿が色々と。重い料理はひとつもない。ただ、ストロベリージュースとは合いそうだった。


 料理の皿を置いたウェイターが早々に部屋から退室する。


 クラッカーの上に乗る濃い乳白色のチーズ……。エミリアはひょいとつまんで口へと放り込む。


 さくっとした音と強めの塩味。そこにまったりとしたチーズの旨味が融合する。


 それでも塩味が強いのだけれど、ストロベリージュースの甘みとはよく調和する。先ほどよりもずっと良い。


「ふむ、ふむ……確かに、その通りだ。モーガンの情報で引き出せるものがあるやもしれぬ」

「杯さえ破壊できれば、情報を渡すことに問題はない――ですよね?」

「他に波及しなければ、な」


 シャレスの懸念もわかる。

 モーガンについての情報はそれ自体が危険要素を含んでいる。


「ロダン、君はどう思う?」

「現状、強硬手段を取らないならば良策かと」


 シャレスはそこで長いこと考え込んだ。


 エミリアは仕方なく、さらにソーセージへとフォークを伸ばす。

 決してお腹が空いているというわけではなく。


(いや、こんな真面目な雰囲気じゃお腹は空くけれど……)


 ジューシなーソーセージを、はむはむ。こちらも結構な胡椒と塩気。


 だけど肉がみっちりと詰まって、脂と旨味は凄い。何もかも濃い味だ。


 もしかすると、この店は全部が濃いめなのかもしれない。


「モーガンの遺産を使う件は、前向きに検討しよう。セリド家の現状、支障は少ない……だろう」


 シャレスも冷静に考えて、エミリアと同じ結論に達したようだった。


 その後は小皿の料理を食べながら、魔術交流会の話へと移っていく。


「メンバーを選抜しなければならんが、向こうの警戒を解く必要もある。人選は慎重にしなければな」

「何人か推薦できる人がおります」


 エミリアがガネット、キャレシーの名前を上げる。ロダンもふたりは知っているので、同意してくれた。


「このふたりは才能ある学生です。エミリアとも交流があり、適切かと」

「わかった。問題がなければ、メンバーに加えよう」


 あとは交流会での希望や流れ、その素案を聞かせてもらう。


 本来であればエミリアが聞くのはもっと後なのだけれど……まぁ、まぁ。


 そしてある程度、話が終わるとシャレスは先に帰ることになった。


「少し会議があるものでな。ここで失礼する」

「お疲れ様です……」


 相変わらずシャレスは忙しそうだ。

 まぁ、外務大臣なので自分たちとは比べ物にならない。


 で、エミリアはロダンと残されてディナーを共にすることになった。


 まだロダンのストロベリージュースは残っているのだが……。しれっと顔色を変えないまま、ロダンが言い放つ。


「レモネードで割るか」


さすがのエミリアも、それには同意するしかなかった。

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