パワーレベリング 中編
ネカマの中のネカマ、寄生虫の中の寄生虫として、俺は初歩的なミスをしない。例えば、これが本当のLv1ヒーラだとして、ライブのHPが減ったことにより焦り、ほとんど回復でいないショボヒールを連発して、蟻のヘイトを見事獲得後、死亡などなど…。まぁ、俺が死亡するぐらいならば良いが、焦ったメインヒーラが俺を回復して…メインヒーラにヘイトが移り死亡…そしてヒーラがいないパーティの末路…つまり全滅なんて、面白くもない。稀にわざとやるけど…。
そもそも各上級職ヒーラの美味しいところだけを取った俺でさえ、蘇生の魔法がないのだ。この異世界での死亡は、マジ死亡っぽい。無茶はできないぜ!
ガクガク生まれたての仔馬のように震えているだけで、ガンガンLvが上がっていく。
サブクラスの召喚士のLvは21。あれ? 中級クラスって、クエスト受けないと駄目だったかな? いや、カンスト特典で、サブクラスのクラスアップグレード時のクエストは不要だった気がする。できれば今回の狩りで中級まで行きたいな〜。
巨大な芋虫との戦闘中に、そんな甘いことを考えていると、近くで戦っていた別のパーティが、ヘイト管理ミスで、崩壊しかけていた。
「ライブ! 不味いぞ! 芋虫を引き連れて、もっと壁際に離れるぞ!」アレンが指示を出す。
ライブは徐々に離れていく。一応、あのパーティが全滅しても、即リンクなどにはならない距離だが、パーティ全滅後に移動することを考えて、さらに離れる。が、この判断が間違いだった…。
突如、シッパとヒーデの脇に、巨大なカマキリが出現した。アレンがヘイトを取る前に、驚いた魔法使いのシッパが動いたことにより、巨大なカマキリはジッパを襲う。巨大な鎌の一撃は、魔法使い如きの防御力とHPを遥かに凌駕し、一撃で殺されてしまった。
アレンがヘイトを取る。これでどうにか全滅は免れたが…。ライブよりも防御力の劣るアレンのHPがガンガン削られていく。ミルは2系統の一定回復をアレンに集中させる。ライブにはもう1系統のパーティ用の一定回復と初級クラスの遅効回復でカバーする。
芋虫のHPは7/10、カマキリはほぼ満タン。どちらから倒すべきか…。俺ならばカマキリだ。理由は、アレンのHPをガンガン回復していると、ミルのMPが持たない&アレンのヘイト管理能力をミルのヒールによるヘイトが上回ってしまうからだ。
「先に、芋虫を倒せ!」アレンが叫ぶ。おいおい…何か策があるのかよ…。
2匹同時討伐開始から、4分が経過する。芋虫のHPは半分まで削れた。カマキリは9/10だ。あれ? これイケるんじゃね? と、安堵したのもつかの間、横にいるミルを見ると顔が青ざめていた…。
よく見ればカマキリの挙動がおかしい。先程からミルがヒールすると、アレンがヘイト管理しているにも関わらず、一瞬、ミルへ攻撃に向かおうとしているのだ。そして…ミルのMPが残り1/3を切ったのだ。
不味い、不味いぞ…。どうする? このまま俺だけ逃げるか? いや…途中で敵と遭遇したら? まぁ…俺ならば、10体ぐらい同時でも死にはしないと思うが…それでは駄目だ! 目立っては駄目。有名になっても駄目!! 考えろ、考えろ…。
まず第一に俺の正体がバレないこと! それが重要、逆に言えば、それしか重要ではない。
自分のスキルリストをチェックする。これならば??
俺は”天使の杖”に祈る。頼む…。誤魔化してくれ! アレンに反射(単体):ダメージ反射シールドをかける。ダメージは受けるが、反射率は100%だ。さらに反射によるダメージヘイトは、アレンのものとなる…。つまり巨大なカマキリの強力な一撃のダメージをカマキリも100%受けるということ。それはまるでアレンが攻撃しているが如く…だからカマキリはアレンを恨むのだ。




