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氷点下を操りし剣聖  作者: 氷菓
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2人の衝突

 月明かりが道を照らしている、その中に4つの影があった。

 1つはフードを深々と被った人物、あの山城を襲った犯人。残り3つはもうボロボロだが学園の制服を着た生徒。

「おい、そんなもんかよ。案外大したことないな」

 1人が煽るように言った。

「3対1でそちらが押されているのによくそんなことが言えますね」

 そう言ったフードを被った女はかすり傷の1つも無かった。

「もう貴方たちには飽きました、退屈してしまいます。さよなら」

「おい !待ちやが……」

「ん、何か言いましたか ?」

 振り返った女の前には誰も立っていなかった。いたのは、横たわった3人の生徒だけだった。


 女が歩いていると自動販売機にもたれ掛かった男とすれ違った。女はその男の前で立ち止まる。

「仕事は終わったのか ?」

 女が止まると男は女に話しかけた。

 男は夜だというのにサングラスをかけ煙草を吸っている。服装も全身を黒で統一し夜の闇に身を潜めるような格好をしていた。

「いえ、まだです」

「だろうな。本部にも完了した報告が無かったからな。で、いつになったら終わるんだ ?」

 吸い終わった煙草を地面に捨て足で火を消す。

「まだ未定ですが近い内には必ず」

 途端に男のもたれ掛かっていた自動販売機が斜めから一刀両断され上の部分が大きな音をたて地面に落ちる。

「あぁ、急げよ。お前もこの自販機みたいに成りたくなかったらな」

「はい」

 男はそう言い残してその場を去っていった。


 教室が騒然とし、誰もがざわつかずにはいられない状況だった。先生たちもまさかの事態に職員室で緊急の会議を開いていた。

 問題が起こったのは数分前に遡る。


 昨日襲われた3人の生徒を偶然にも通りかかった1人の生徒が見つけ病院に運んだ事をSNSに書き込んだのが全ての始まりだった。

 その投稿を見つけた生徒が噂を広め今や学園の生徒の大半が知っている状況だ。投稿をした生徒は悪気があった訳ではなくただ心配だけだったが生徒たちはそれを知るよしもなかった。

 そんな中、もう1つの噂がたった。それは『山城も襲われたのではないか』という噂。

 その噂も広まり今に至る。


 会議が終わり先生が教室に戻ってきた。

「皆さん、もう知っていると思いますが、昨夜学園の生徒3人が何者かに襲われました。それに伴いランキング戦は中止、下校時には必ず3人以上で下校するように、とのことです」

「先生、犯人はまだ捕まらないんですか ?」

 1人がそう聞いた。他の生徒たちも同じ事を聞きたい様子だった。

「そうですね、まだ今のところは。一応警察などが動いてくれています。後、桐原君、片山君、それに白石さんとティナさんは私の所に来て」

 呼ばれたので俺と結斗、白石とティナは先生の所に行った。

「今回襲われた3人は山城君と同じでランキング戦に参加していました。恐らくですが、4人を襲った犯人は何らかの意図があったと思われます。他のクラスの生徒にも言ってありますが、貴方たちも十分に警戒して下さいね」

 先生は少し心配そうな顔をして言った。


 楓たち4人は一緒に校門を出たが楓は1人別の方向に歩き出した。

「楓、何でそっち行ってるの ?帰らないの ?」

「俺は少し用事があるから今日はこっち行く。先に帰っててくれ」

「大丈夫なの ?襲われてるのはランキング戦出場者、貴方もそれに入っているのよ」

 ティナが心配したのか楓に注意を促した。

「問題無いよ。いざとなれば全力で逃げるし。じゃあね」

 楓はそう言って結斗たちと別れた。


 結斗たちと別れ歩き続けた楓が立ち止まったのは廃墟認定区域。存在を知っているだけで来たことある人などほとんどいない場所だ。辺りを見渡しても潰れてボロボロになり鉄筋コンクリートが丸見えのビルなどが建ち並ぶ。立ち止まった楓は今来た道を振り返った。

「さっきからつけてきているのは気付いている。姿を見せろ」

 楓の声が響き渡りビルの影から1人の少女が出てきた。

「いつから気付いていたの ?」

「学園を出た時からだ。だから、彼らとは別れた。君が襲ってくれば巻き込むことになるからな」

「そう。で、私は思惑通りに吊りだされたってわけね」

「ここなら誰の邪魔にもならない」

 途端に少女が腰にかけていた刀を鞘から抜き斬りかかってきた。しかし、その攻撃は分厚い氷の壁によって遮られる。

「やっと貴方と戦える、殺し合いが出来る」

 フードから覗いた少女の顔は笑っていた。少女は楓から大きく距離を取った。風が吹きフードが外れる。少女の長い髪は風に吹かれなび)いていた。

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