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6−8. 無かった未来 〜書かれたシナリオ

5-5の後に進む筈だったルートです。あくまで大使達を操っていた者達の描いたシナリオ。

「医者を呼べ!聖魔法師もだ!」

宰相が叫んだが、皇帝の護衛達はもういきりたっていた。

「国賓と欺き皇帝を無き者とするのが此度の謀略か!ここは卑怯者の国か!」


 帝国の護衛達とウィグムント王の間に近衛が入り、不測の事態に備えた。

しゃがんで皇帝を抱きかかえていた侍従が声を上げた。

「急ぎ控室に戻るぞ!応急手当をせねばならぬ!」


 王国外務卿とその部下数人が出て来た。

「先導いたします。お急ぎください!」

「かたじけない。急ぐぞ!」

大柄の護衛騎士が皇帝を抱きかかえて小走りに謁見室を出て行った。


「宰相!すぐに医者と聖魔法師を皇帝陛下の控室に向かわせてくれ!」

ヴィンセント・モントローズの声に、宰相も伝令を走らせた。

「医者と聖魔法師は皇帝陛下の控室に向かわせろ!」


 皇帝の控室に向かった医者と聖魔法師の集団は控室への入室を拒否された。

「どこに暗殺者が混じっているか分からないのに、むざむざ見知らぬ奴等を陛下に近づけさせるか!」


 一方、皇帝の侍従達は王国外務卿を通じて王国側に馬の用意を要求した。早朝から帝国へ急ぎ戻るから、途中の休憩場所に替え馬を用意しろと言うのだ。


 空が白むのと同時に皇帝一行は王宮を出て、東に向かった。替え馬の利用で、行程は3日に短縮された。


 馬車は帝国領アシュフォードの町にはいった。待機していた帝国の御典医と聖魔法師達の必死の治療により、皇帝は口がきける程度に回復した。


 帝国ではこれを機に皇太子を決めるべきとの意見が大勢を占め、順当に正妃の生んだエゼルウルフ皇子が皇太子となった。


 未だ床を離れられない皇帝に代わって、正妃の兄であるレノックス公が中心となってアシュフォードの町で帝国と王国の交渉が行われた。


 帝国はウィグムント王の退位を要求した。そうなると貴族学院を卒業したばかりの第一王子ダリウスが即位する事になるが、何分、勉強不足であり、経験不足だった。元々、ダリウス王子はその資質に疑問符が付いていた。だから貴族議会でダリウス王子の立太子に関する議論は紛糾した。


 そういう噂が流れた為、市民達は日に日に王国の不甲斐なさと、帝国に対する不満を募らせた。


 ある日、暴徒が王宮に雪崩込み、離宮に囚われていた帝国のアンジェリーナ皇女に襲い掛かった。市場に皇女の生首が晒されるに至り、帝国は威信にかけて王国を制圧せざるを得なくなった。


 帝国は王国に侵攻し、王家を皆殺しにした上、王都を焼き払った。


 皇太子の従兄弟であるレノックス公の三男ファーガスが新領土総督となり、元王国の伝統貴族は全て廃止された。代わって商人上がりの新興貴族達が次々と伯爵に陞爵された。

 もちろん、アシュフォードの町で降ろされた男は氷漬けの遺体だった訳ですが。いずれにせよ、口封じが必要な訳ですから。


 10分後に次話を投稿します。

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