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4−4. 騒動 (3)

 1時の鐘が鳴りやむ時に踏み込もうとしたジョナサン・ヒュームの隊は、対象の倉庫から荷馬車が出て行くのを見た。


「隊長、あの中です」

風魔法師の探索担当がジョナサンに囁いた。

「二人ここに残って出入りする奴を見ておけ。残りは1ブロック遅れて馬車を追う」

幸い、王都内を走る荷馬車の速度なら人間が小走りで追える速度だ。二人ずつ入れ替わりながら、脇道に隠れながら騎士達は荷馬車を追った。


 荷馬車は平民向け商店街を抜け、下位貴族街に向かった。

「おいおい…」

「どうしますか?」

「下位貴族ならブツがあれば押し切れる。追うぞ」


 やがて荷馬車は下位貴族街を抜け、上位貴族街に入った。

「隊長、これ以上は不味いのでは?」

「それでも誰の館に入ろうとしたかまでは確認しなければならん。追うぞ」


 荷馬車はコクラン伯爵邸の門前で止まった。伯爵は薬物を扱っている貴族だ。門番と御者が話をして、門番が門を開けようとしたところでジョナサン・ヒュームが小走りで近づきながら声を上げた。

「開門、待て!第一騎士団のジョナサン・ヒュームだ。積荷をを改めさせてもらう」


 門番は当然の質問をした。

「何かあったので?」

「平民街で魔力異常を起こす薬で一騒ぎがあった。不法薬物が使われており、同じ反応を起こす薬物を追っている。今日の荷の中に該当するものがあるかどうか知っているか?」


 門番は首を振った。ジョナサンは御者を見た。

「いえ、存じません。私はこの荷を全てコクラン様のお屋敷に運ぶように言われただけですから」


「では、積荷の確認をする予定だった者を呼んで来てくれ」

やって来たのは侍従だった。

「積荷一覧はあるのか?」

「こちらになります」

侍従が見せた荷物一覧には、もちろん目を引く物は無かった。


 積荷改めが始まったが、風魔法師の指示で該当する薬物の入った箱が取り出せる様に外に出しただけだった。そして該当する箱を荷馬車の外に出して、風魔法師は言った。

「これです」

ジョナサンは侍従に尋ねた。

「この積荷は一覧の中の何に該当するのか教えてくれ」

「中を見させてください」

木箱の中に更に小型の箱が入っており、その中に紙包みが収まっていた。

「すみません、これは見た事が無い物です」


「御者はこれを何処で手に入れた?」

「何処も何も、倉庫を出た時から中身には全く手を付けておりません。だから、倉庫を出る前に入っていたとしか言えません」


 コクラン邸の執事を呼び出した上で、積荷だった木箱の上で、ジョナサンは簡単な調書を作った。

「まず、御者はこれが倉庫にあった物であると証言した。問題なければサインをしてくれ」

御者はサインをした。

「次、侍従はこれが一覧に無い事を証言した。問題なければサインをしてくれ」

侍従もサインをした。

「二人が異論なくサインをした事を門番は見た。問題なければサインをしてくれ」

門番もサインをした。

「執事に押収した積荷の一つを預ける。主人に確認し、本品が主人が発注した物であると主張するなら、明日に騎士団本部へ返還請求をする様に」


 執事が押収に異論を挟む事は無かった。知らないのか、知っているけれど知らぬフリをしているのかはジョナサンには分からなかった。


 一方、ウォーレン・キャロウェイの隊も目的の場所からブツを積んだ荷馬車が出たのを確認し、追跡した。こちらはヘリス男爵邸に入ろうとしたところを積荷改めの為、停車させた。


 こちらでは男爵の執事が抵抗した。


「男爵閣下が正当に入手した物です!騎士団による押収は不当行為です!」

「そうか。それでは明日、男爵の名前で返却請求をしたまえ」

ウォーレンはやはり紙包みを一つだけ執事に渡した。押収時の状況について、御者、立哨の者、執事にサインをさせて、残りの薬物を押収して騎士団本部に帰って行った。

 普通はこんなもん知らん!と言うべきだと思うんだけど。

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