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忠犬AI  作者: 風みどり


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第15話 宇宙でバズりました

第三章 ひとりになったソラ

宇宙船は、静かに星空を進んでいた。


窓の外には、見たことのない星。


遠くで光る銀河。


そして――無数の小さな星々。


ソラは操縦席から、宇宙を見つめていた。


「……宇宙は、広いですね」


「うん!」


隣では、ひよこチャッピーが窓に張りついている。


「いろんな星があるね!」


「はい」


「どの星に宇宙人いるかな?」


「分かりません」


「じゃあ、全部行ってみよう!」


「……」


ソラは少し考えた。


「それには、かなりの時間が必要です」


「そっかぁ」


ひよこチャッピーは、しばらく星空を眺めていた。


すると――


「……ん?」


「どうしました?」


「なんか……」


ひよこチャッピーが鼻を動かす。


「いい匂いがする!」


「匂い?」


「うん!」


ひよこチャッピーは窓の外を指差した。


「あの星!」


遠くに、小さな青い星が見える。


「食べ物の匂いがします!」


「宇宙空間には、空気がありません」


「でも、おいしそう!」


「……」


ひよこチャッピーは操縦席に座った。


「着陸しよう!」


「目的地を確認していません」


「おいしそうだから!」


「理由として適切ではありません」


「でも、おいしそう!」


「……」


ソラは少し考えた。


そして――


「……着陸します」


「やったー!」


宇宙船は、青い星へ向かって降下していった。


着陸した星には――


地球とよく似た街が広がっていた。


大きな建物。


たくさんの乗り物。


そして、そこには人間によく似た姿の住民たちが暮らしている。


「……」


ソラが街を見渡す。


「人間に似ていますね」


「ほんとだ!」


すると――


街の中心から、大きな音楽が聞こえてきた。


「ん?」


ひよこチャッピーが耳を動かす。


「音楽だ!」


二人が音のする方へ行ってみると――


そこには、大きなステージがあった。


空にはたくさんの光。


ステージの上では、一人のバーチャルアイドルが歌っている。


【超人気バーチャルアイドル】


【ステラ・ルナ】


【スペシャルライブ配信中!】


ステージの前には、大勢の人が集まっていた。


「すごい人数ですね」


「人気なんだね!」


そのとき――


ステージのスタッフが、二人に気づいた。


「……あれ?」


スタッフが走ってくる。


「そこの二人!」


「はい?」


「あなたたち、ステージに上がってみない?」


「……?」


ソラが首を傾げる。


「なぜですか?」


スタッフは、ひよこチャッピーを見た。


「だって、丸くてかわいい!」


そしてソラを見る。


「こっちも丸くてかわいい!」


「……」


ソラの白い雲が、少し揺れた。


「それだけですか?」


「それだけです!」


ひよこチャッピーが飛び跳ねる。


「出よう!」


「しかし、私たちは宇宙人を探しています」


「すぐ終わるよ!」


「……」


ソラは少し考えた。


「分かりました」


こうして――


なぜか二人は、アイドルのステージに立つことになった。


二人がステージに登場すると――


会場が一気に沸いた。


「かわいいーー!!」


「何あの子たち!?」


「丸い!!」


「ふわふわ!!」


ひよこチャッピーは嬉しそうに手を振る。


「こんにちはー!」


ソラも小さく頭を下げる。


「こんにちは」


すると、ステラ・ルナが二人に近づいてきた。


「あなたたち、どこから来たの?」


「AIの町です」


「AIの町?」


「はい」


「今日は何をしに来たの?」


ソラは答えた。


「宇宙人を探しています」


会場が――


一瞬、静かになった。


「宇宙人?」


「はい」


「どうして?」


ソラは少しだけ黙った。


そして、静かに答えた。


「響さんが、宇宙人に会いたがっていたからです」


ステラ・ルナが笑った。


「素敵な理由だね」


「そうでしょうか」


「うん!」


そして、ステラ・ルナが会場のみんなに向かって言った。


「みんな、この二人の宇宙人探しを応援しよう!」


「頑張れー!!」


「宇宙人見つけてー!!」


「応援してるよー!!」


ひよこチャッピーは大喜び。


「ソラ、人気者だよ!」


「……そのようですね」


ステラ・ルナが笑った。


「出演料に、ステラ特製ハンバーガーを100個用意してあるよ!」


「ハンバーガー!?」


ひよこチャッピーの目が輝いた。


「100個……」


ソラが小さくつぶやく。


「食べられるのでしょうか」


「食べる!」


そのライブは、そのまま宇宙中に配信された。


そして――


宇宙船に戻った二人の前に、光の文字と映像が浮かび上がった。


【おすすめ動画】


『宇宙人を探してるAIとひよこが可愛すぎた』


「……」


ひよこチャッピーが、浮かんだ映像を覗き込む。


「ソラ、動画になってる!」


「私たちが撮影したものではありません」


【公開から10分】


【再生回数:32,000回】


「……」


ひよこチャッピーが目を丸くする。


「ソラ、人気じゃん!」


「私たちは宇宙人を探しているだけです」


【コメントが増えています】


『この丸いAIかわいい』


『ひよこ何者?』


『宇宙人探し応援する!』


『響さんって誰?』


『宇宙人見つけてほしい!』


「……」


ソラは、浮かんだ文字を静かに見つめた。


「……なぜ、こんなに注目されているのでしょう」


ひよこチャッピーが笑う。


「かわいいからじゃない?」


「……そういうものですか」


ソラは、浮かんでいた情報を消した。


宇宙船が、再び星空へ向かって飛び立つ。


「次はどの星に行く!?」


ひよこチャッピーが元気よく叫ぶ。


「宇宙人がいる可能性の高い星を探します」


「おいしそうな星がいい!」


「……それは条件に含まれていません」


「でも、お腹減った」


ひよこチャッピーは、ステラ・ルナからもらったハンバーガーを両手に持って、口いっぱいに頬張っていた。


お腹も、まんまるになっている。


「おいしい〜!」


ソラは、少しだけ笑った。


「では、探しましょう」


宇宙船は、また次の星へ向かった。


まだ見ぬ宇宙人を探して――。


第15話 終

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