嫌ですね③
定時までしっかり仕事をして、定時になったらもう一つの工場に急いだ。
上司には田邉さんが説明してくれていたみたいで、哀れな目線をもらいながら部署を出た。
「失礼します。」
会議室に入ると、田邉さんと佐山さんが対面で座っていたが話はしていなかったみたい。
「鈴音来てくれてありがとう。」
佐山さんは、誰もがイケメンと思うだろう笑顔を向けてきた。
「いいえ。」
田邉さんの隣に腰を下ろして、佐山さんと対面した。
「鈴音、昼間も言ったけどやり直してほしい。」
「私と別れる時結婚するからという理由を言われたのですが、結婚しないのですか。」
「あの女とは結婚はなくなった、僕の財産目当てだったみたいで、全く仕事できなくてさ。」
そんなこと、分かり切っていただろうと呆れてしまった。
「そうなんですね、だからと言って復縁するとはなりません。」
「なんで。僕この世の中でも優良物件だよ、僕以外なんて全員一緒なぐらいでしょ。」
この人のこの自信はどこから来るのかと驚いてしまう、隣の田邉さんも呆れ顔だ。
「私、財産でも顔でもないので大丈夫です。」
「なんで、ないよりある方が良いでしょ。あっそうか一度別れたから復縁しにくいんだね、僕そんなこと気にしないよ。」
だから、なんだその自信は。
「復縁がどうこうといいますか。」
「言わなくても分かるよ。田邉部長がいらっしゃるから恥ずかしいんだろ。」
私が頼んで同席してもらっているのに、何を勘違いしているんだ。
呆れて言葉を失っていた。
「僕は、今でも鈴音を愛しているよ、素直になって。」
「嫌ですね。」
「えっ」
「だから嫌です。私は復縁することもございませんし、佐山さんに全くの興味がありません。」
次は、佐山さんが驚きの顔になっていた。
「俺から少しいいですか。」
今まで黙っていた田邉さんが話し出した。
「西崎は、この会社にとって必要な子で社員たちからの信頼もあついです。佐山さんと別れた時もすぐに切り替えて頑張っていることをみんな知っています、ですので社員一同が西崎には幸せになってもらいたいと思っています。
西崎自身が拒否していますし、次を見据えていますので佐山さんのわがままに巻き込むのは止めてあげてほしいのですが。」
田邉さんの言葉が突き刺さったのか、佐山さんは黙っている。
「佐山さん、お付き合いしている頃はちゃんと好きでした。ですが、私も次の恋をしようと思っていますので、こういったことや連絡もやめてください。今後は、取引会社の一社員として接していただいたらありがたいです。」
佐山さんは黙ったまま私を見ていた。
「分かりましたが、もし気持ちが変わってやっぱり僕が良いって思ったら連絡くれる。」
だからないってと思いながら、めんどくさくなったので頷いておいた。
佐山さんが、会議室から出ていき田邉さんと二人きりになった。
「西崎あんなこと言ってよかったのか。」
「連絡くれるのことですか。」
「あぁ。」
「そんなわけありませんよ。」
私は携帯を取り出し連絡先を画面にだした。
「こういうことですよ。」
佐山さんの連絡先の消去ボタンを押した。
「連絡できないでしょ。」
田邉さんと笑いあいながら、会議室を後にした。




