嫌ですね②
昼の休憩が終わり、工場でのごたごたもどうにか処理をして会議に戻るためにもう一つの工場に戻ってきた。
「西崎さん。」
会議室に入る前に、後ろから声を掛けられた。
神谷さんの声だと分かって後ろを振り向いたら、佐山さんがいてその後ろに神谷さんがこっちに手を挙げていた。
佐山さんに軽く会釈をした後、神谷さんの所へ行った。
「どうかされましたか。」
「製品についてお聞きしたいことがあるのですが、ちょっといいですか。」
「大丈夫です。」
神谷さんが立っている所の扉を開いて中へ促された。
「あぶなっかった。」
中にはまだ誰もいなくて、静まり返っていた。
「さっきの佐山さんですよね。」
「はい。」
「西崎さんに声掛けようとしてたんで、俺が先に声掛けたんです。製品についてなんかあるってわけではないんですけど。」
神谷さんは、佐山さんから守ってくれたみたい。
「ありがとうございます。朝も声掛けられて嫌だったんで。」
「お役に立ててよかった。」
神谷さんは、軽く私を抱きしめた。
「今隣の扉閉まったみたいなんで大丈夫だと思いますよ。」
ここまで、気を配ってくれる人が自分を守ってくれたことがとても嬉しくて、少し背伸びをして頬にキスをしてから、扉から出た。
神谷さん、絶対固まってるだろうなと思いながら、自分の会議室に入った。
「そういや、住む所は決まったのか。」
一通り議題は終わって一段落した時に、社長が言った。
会議メンバーは9人、その中で決まっていないのは私だけだった。
「西崎早く決めないとやばくないか?」
そんなことを言われても、皆は向こうで仕事してるから見に行けるけど私はこっちの助っ人出来ているから無理だ。
「社員寮もあるけど、西崎ちゃんは残業あるし女の子だから嫌だよね。」
そう、今の工場とは全く地域も違うので社員寮としてアパートを借り上げするらしいんだが、プライベートも社員と一緒は嫌だ。
「来週末に何件か内見行って決めて来る予定です、ただ土地勘が全くないんで大変なんですよ。」
「神谷さんに一緒に来てもらえばいいだろ。」
田邉さんが、何も考えず発言した。
「「神谷?」」
数名が私を見ていた。
「あっ、いや。」
「俺が、今から頼んできてやるよ。」
「田邉さん。」
急ぐように、扉から出て行った。行動力がある人ってこういう時厄介。
田邉さんが出て行ってから、残ったメンバーに詰め寄られはぐらかしながらどうにかやり過ごしていると。
「いいってよ。」
凄い勢いで入ってきた田邉さんが叫んだ。
「後で連絡しますって言ってたぞ、やっぱり彼はいい人だ。」
また、全員がこっちを見たがもう気にせず軽く頷いた。
「じゃあ今日はここまでで大丈夫だな。スケジュールは後で連絡しておくから。」
今の時間は15時だから、まだまだ仕事ができるしこの感じだと定時で帰れるなと思い席を立った時だった。
コンコン
「失礼します、西崎さんいらっしゃいますか。」
新入社員の営業の子が扉を開けた。
「どうしましたか。」
まだ、一緒に仕事をしていないのでどういった子か分からない。
「あの、佐山社長がお話があるそうです。」
聞きたくもない名前が出てイラっとした。
「こっちは全く話すことはありません、今仕事で関わってもいませんし私情は挟まないで下さいと言っていただけますか。」
新入社員が悪いわけではないんだが、イラっとしていて言い方がきつくなってしまった。
「古賀、佐山社長は一対一とかで会いたいとは言ってなかったか。」
田邉さんが、間に入ってくれた。
「そういったことは、話がしたいとしか。」
「分かった。西崎、俺も一緒にいるから話してみたらどうだ。今後新工場では、西崎が担当しなくてはならなくなるだろ。しかも、あっちはあんな感じだからキッパリしておかないと大変だろ。」
田邉さんがいうことも一理ある、今後のこともあるし忙しい状態で連絡を入れられて、イライラするのも自分自身にも悪いと思っている。
「分かりました、田邉さんが一緒なら話しましょう。ただ、私も忙しいし向こうの工場の対応がありますので定時以降が良いのですが、田邉さんどうですか。」
「俺は大丈夫だ。」
「聞いてきます。」
古賀君が出て行って、戻ってくるのには数分だった。
定時後にこちらの工場の会議室で話し合うことが決まった。




