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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第93話 全快したので、行きたいとこへ

「本当に……いいの??」

「いいって、言ったじゃん? 俺ちゃんと全快したし」

「……そうだけど」



 万智子が渋っているのは、今日行く予定の場所について。


 覚が無事に風邪から快復し、次の休みになったら『万智子の行きたいところに行く』と宣言したのだ。


 家族だから、風邪の看病くらいは当たり前。というか、すべきことだと認識していたので、お礼なんていいのに……と感じたほど。


 だけど、覚としては、これから向かう場所には万智子ひとりでは『困難な事態』が少しあるので協力してくれるつもりだ。


 同人誌即売会ではない、また別のイベント。


 ヲタク関連のイベントのひとつ、コラボカフェだ。


 フードやドリンクを注文すると、ランダムで当たる付属の『コースター』や『缶バッジ』などが定番となっている。それをひとりで『推しキャラ』が出るまで挑むのは金銭面もだが、胃袋がひとつしかないので完食も難しい。


 その相棒として、わざわざ付き合ってくれるのだという。覚の推しキャラとかは特にいないイベントなのに、いいのか? と思ってしまうものの、到着したからには引き返せない。



「いらっしゃいませ~。ハロハロポップンのコラボカフェの列はこちらになりま~す!!」



 コスプレしている店員が案内の声掛けをしてくれたので、もう挑むしかない。万智子たちは予約をしているので、そのラインに並んでからメニューを受け取った。


 ハロハロポップンとは、ゲームの名前のことだ。万智子は多種多様な推しがいるけれど、Vtuber以外にも漫画にゲーム、アニメや2.5次元など好きなものが多すぎるくらい。覚もそれなりに多いと聞いてはいるが、今回のイベントは専門外だったはず。


 なのに、付き合ってくれるというのだから……正直言って、嬉しくないわけがない。



「最推し……みっちゃんのコースターとファイルだけは! なんとしてでも!!」

「フードとドリンク関係なく、ランダムで一個ずつか……軍資金は今回気にしなくていいから、出るまで飲み食いする?」

「! そんな! 太っ腹過ぎる!!」

「だって、お礼だし?」



 順番が来て、席に着けば。どこもかしこも、ゲームキャラの立ち絵やデフォルメのイラストが多数描かれていた。憧れの推しがあんなところにまで、と万智子は覚に頼んでキャラの横に立って画像を撮ってもらったりと……注文した品が来るまで堪能しまくった。


 そして、注文した品がテーブルに並ぶとそれなりに圧巻した状態に。



「お待たせいたしました。こちらは特典のランダム缶バッジにファイルです」



 フード二品、ドリンク五品。計7個のランダム特典。缶バッジ三個にファイルは四枚だった。


 世界観とキャラクターをイメージしたフードとドリンクはどれもこれもが美味しそうで、万智子のテンションが爆上がりになってしまう。いくつか画像を撮って満足してから、特典を見る前にまずは食事をすることにした。フードはランチメニューにしたので、朝を軽めにした分しっかりお腹が減っていたのだ。



「「いただきます」」



 万智子はゲームの世界観をイメージした『黒海と白海をイメージした二色オムライス』を。


 黒は竹炭パウダーを入れたカレー。白もホワイトカレーらしい。ピリ辛と甘辛がそれぞれ楽しめて、ご飯はバターライスでマイルドだから食べやすかった。卵もふわふわで好感度が高い。



「ふーん。明太子に柚子胡椒と輪唐辛子か?」



 対する覚のメインは、『海の幸だらけのボリュームパスタ』。イカとホタテのシーフードたっぷりに、明太子が絡んで実に美味しそうだった。味付けにも工夫しているのか、ピリ辛らしい。



「ひと口ずつ交換する??」

「いいよ」



 さすがに、ほかの客がいる中で『あーん』はしたくないから……無難に、皿を取り換えて食べることにした。たしかに、ピリ辛仕立てなのに食べ易かった。


 飲み物はスカッシュがベースで、味の違いはキャラクターのイメージに寄せてある感じだ。色もグラデーションが美しく、見ていて楽しい。ストローに持ち帰り可のタグがあるので、丁寧に外してからポーチに入れた。



「じゃ」

「開けるか……」



 万智子が缶バッジを。


 覚がファイルを。


 封入されている銀の袋をゆっくり開けたが、それぞれぺりぺりとシール部分をめくって……慎重に中身を取り出す。


 中身のサンプルはSNSで公表されていたので、色を見れば『どれ』なのかもわかっている。


 だから、頼む、推しが出てこい、と祈るようにして中身を取り出してみた……ら。



「……朔ちゃん、か」

「こっちはみくるだね?」



 一回目、推しではないものの人気キャラではあった。


 二回目もすぐに開封してみたのだが。



「崑くんぅ~~」

「俺は雷伝だね?」



 男性キャラ人気上位ではあるものの、推しではない。


 缶バッジは残りひとつ。


 ファイルは二枚。


 ここは一気に開けようと、ふたりで挑んでみれば……。



「やった!! 倫正(みちまさ)!! みっちゃんの缶バッジ!!」

「あ、こっちも一枚いるよ?」

「マジ!!?」



 少ない注文数で、まさかの推しのコンプ。


 もう一枚はしかも、シークレットでキャラ勢ぞろいのファイルだったため、万智子は非常に満足いく結果になった。周りからは『おめでとう』と拍手を送られたので、少し気恥しかったがお礼の返事を返した。



(あ~~……さとくんといっしょに、こういうとこに来れるだなんて)



 次は、覚の好きな推しとかのコラボカフェとかでも楽しめるんじゃと思っていると。


 彼から、来週あたりにあるから行かないと誘われたので、もちろんだと承諾した。ヲタク同士、意気投合した夫婦のデートスポットとしても文句をつけるところがないからだ。

次回はまた明日〜

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