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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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第91話 アシスタント業務も再開するも

 仕事のペースがうまく掴んできた最近の万智子。


 なので、一番お世話になっているドミノ・パンのアシスタント業務も再開出来そうか本人に声をかけてみたところ。



『さーやちゃぁあん!! マジ、助けてぇ~~』



 と、通話しただけで半分泣きつかれるように助力を求められたのだ。商業の方で万智子を応援してくれたのは本当だったが、自分の作品のアシスタントとしても万智子の能力を買って出たところもあったから、手が足りていないのだろう。



「わ、わかりました。背景ですか? ほか修正ですか??」

『……両方』

「え? ほかのアシさんたちは?」

『……どっちもインフルと風邪でダブルブッキングぅ』

「わ、かりました。私は大丈夫なので、データ送ってください!」

『恩に着る!! ボーナスとして給金上乗せするから!!』

「そこは気にしないでください」



 給料をもらえるのはありがたいことでも、結婚式でも世話になった先輩作家の助けになりたいのは本当だった。


 そこから、背景、修正箇所の推敲部分。諸々の業務を実質ふたりでなんとかするという作業が続いて数時間後。


 ひと段落ついて、ドミノにデータを送ってから数分後には『ありがとう、助かった』とDMが届いたので万智子もデスクの上でふにゃふにゃとへたれ込んだ。



「……ただいま?」



 と、今日も今日とて、また覚の帰宅時間内に家事も食事もろくにしなかった結果を見られてしまう。しかし、へとへとで動けないので、小さく『おかえり』としか言えなかった。



「……大丈夫? なにかあった?」

「ドミノ、先生の……仕事再開で、ちょっと」

「あ~……向こう側でなんかあったの?」

「アシさんたち病欠で全滅……」

「で、マチちゃんが頑張ったと?」

「……なんもしてない」

「家のことはね? いいよいいよ。ドミノ先生には俺も世話になっているし??」

「うん……」



 労わってくれるのか、よしよしと頭を撫でてくる手があたたかく感じる。


 ただ、覚の声音がなぜかいつもより弱い気がしたのは気のせいじゃないと思う。顔を上げて、目を合わせれば。覇気のない表情とぶつかった。



「……どした?」

「それ、こっちのセリフ。さとくん、なんか元気ない?」

「あ~……わかる?」

「風邪?」

「の。引き始め? 運転は安全重視でちゃんと出来たけど」

「……それはよかった。着替えて、寝なさい」

「え~? ご飯どうすんの?」

「私は適当にするけど。さとくんのは、なんとか作るから!」

「……ほんと?」



 それが引き金になったのかで、へろへろ状態が出始めたらしく。仕方ないので、万智子のベッドで寝かせてから覚のパジャマなどを取りにいく。病人の男性の世話なんて、父親が存命だったときは母に任せきりだったからこれが初めてだ。


 あんな大病ではなくても、病人には変わりない。


 着替えさせ、ベッドに寝かしつけてからは。


 薬を飲むのに、ご飯をなにか作らなくてはいけない。おじやくらいなら、スマホで検索すればレシピくらい出る時代だ。そこはなんとかなる。


 あとは冷蔵庫の中身。卵、ネギ、鶏ひき肉とかがあったので、これを使おうと取り出した。



(え~と? おじや……材料は)



 検索AIでもいいが、覚が以前に教えてくれたレシピアプリ内で検索してみたら色々出てきた。


 同じ材料であっても、少し工夫するだけで全然違ってくる。出汁は和風か中華風かで悩んだが、温まる理由で中華風にしてみようと思った。その出汁などの材料も戸棚を探せばちゃんとあったから。



「まずは、小鍋にお湯と鶏がらスープの素を入れて」



 湧いたら、冷や飯と鶏ひき肉を入れて少し煮込む。灰汁が出たら、適量取り除く。


 少し味見してから、ネギを入れて溶き卵を入れる。箸でふんわり混ぜたら、仕上げにごま油を一周回すくらい入れれば完成。



「さとくーん。おじや出来たよ~?」



 万智子も自分で食べる用にトレーの上に乗せてきたが、覚はぼんやりしていたのかで反応が少し遅れた。やはり、気が抜けると病人の場合、こんなにも正常じゃなくなるのが見ていて辛かった。



「……ありがと。食べる」

「うん、食べたら薬も飲もうね」



 トレーは覚の方に使わせてあげて、万智子はベッドの脇で座ることにした。



「「いただきます」」



 レシピを参考にしても、味見はしたのでちゃんと出来ているはず。


 覚は少し動く元気が出てきたのか、匙を持つ手がきちんと動いていた。ひと口食べると、ほぉ、と息を吐くくらい。



「どう?」

「あったまる……仕上げにごま油とか使っているから、食べやすい」

「調べただけで作ったんだけど」

「うん、大丈夫。美味しい……」



 少し表情が緩んでいるのが可愛く見えてしまうのだが。


 今は愛でている場合ではない。たしか、食後は汗を掻いたりするから着替えが必要か聞くとぽかぽかしてきたと言うので冷蔵庫からスポドリを持ってくることにした。



(今日私も頑張ったから、明日はふたりで休みにしよう)



 風邪は一日で治るなんて保証はどこにもないから、覚にもあとできちんと話してみたら『そうする』と素直に答えてくれた。


 よっぽど、仕事で疲れたのかで風邪菌が入ってきたのかもしれない。無茶をしてまで仕事に行ってほしくないから、出来るだけ精一杯看病しようと万智子は決めた。


次回はまた明日〜

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