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流行りの婚活したら、旦那の料理が美味しすぎた〜時短レシピに胃袋掴まれた同人作家嫁の日々〜  作者: 櫛田こころ


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9/15

第9話 ヘルシーチヂミは粉より豆腐

 ともあれ、今日の夕ご飯はお米も炊いていないのに……いいのかと、万智子は少しはらはらした気持ちでいた。寝る前のお風呂くらいでペナルティーもいいのか、とさらにドキドキしていると。


 着替えて冷蔵庫の中身を確認した覚は、目当てらしき食材を取り出していた。それは、なんと。



「……豆腐??」



 三パックのうち、ふたつも取り出したのでダイエットメニューでもするのかと思ったが。


 万智子のつぶやきを聞き逃していなかった覚は、それ以外に野菜室からまた別の食材を取り出していた。



「今日の時短レシピはキノコと豆腐のチヂミ」

「……きのこ」

「嫌いなの知っているけど。俺の作った、えのき入りのハヤシライス食べれたじゃん? 今日もえのきしか使わないし」

「そなの?」



 しいたけの風味とふかふかした食感が苦手の万智子は、それがきっかけでキノコ全般を苦手としていた。だから、最初えのき入りのハヤシライスを振舞われたときはひと口も食べれないと思っていたのに……シャキシャキした食感以外の無味に驚きを隠せなかった。だから、えのきとあとマイタケだけはなんとか食べれるようになったのだ。マイタケは副菜のペペロンチーノ風で克服したのである。



「生地には豆腐、片栗粉。チーズ」

「おお!!」

「刻みネギの残りも入れたら、それぞれのフライパンの中で潰して生地を混ぜていく。これはビニール手袋で作るとゴミひとつで済むかな?」

「ほーほー」



 手で揉んでいくように混ぜ合わせていくだけでいいのは面白い。それぞれの形が整ったら、手袋は捨ててごま油を一周かけたら火をつける。覚のこだわりだと、最初は蓋をした方がふわふわに焼けるそうだ。



「三口コンロだから、今日はウィンナー無しのスープになっちゃうけど。もも肉だけでいい?」

「問題ナッシング!!」

「なんか飲む?」

「の……んで、いいの?」

「あ、覚えててくれた? お風呂入るのに飲むのはね~」

「あ、うん」



 態と忘れかけていたのに、ぶり返したのは策士なのか。やはり、ロールキャベツ男子は侮れない。


 とりあえず、スープのあたためもしながらフライパンふたつで同時焼きをしていく間。なにもしないわけにはいかないと思って、万智子も手伝おうかと言ったら食器以外に『タレ』の準備を頼まれた。



「レモン汁と醤油、一対一にごま油少々」

「……だけ?」

「糸辛子は今ないしね? ラー油も今度買おう」

「美味しいの?」

「俺は好きだね」



 チヂミ専用のタレとかも売っていそうだが、わざわざ手作りのこだわり様。言われた通り混ぜたのを器に移し、食器も用意していくうちに覚の方も出来上がったらしい。さくさくと、包丁を使う音が聞こえたので、焼きたてをわざわざ切ってくれているのかと感心した。



「こっち出来たよ」

「こっちも盛り付け出来たよ。食べよっか?」



 スープは今朝も昨日も食べた同じものだが。


 チヂミが一人分の量が多いので物足りなければ、まだあるスープを食べればいい。


 実に健康的なメニューを見ると、もう空腹が我慢できないのかで胃腸が動いた気がした。



「「いただきます」」



 格子状に切られたチヂミを一枚箸で持ち上げれば……チーズが入っているので、伸び方が凄かった。あと、粉は片栗粉しか入れていないのに豆腐メインでもぼろぼろにならないどころかふわふわした感触が伝わってくる。


 万智子が作ったタレにちょんとつけて口に運べば。たしかに、えのきのシャキシャキ感は強いが無味そのものなのでタレの味しかしいない。それが逆に楽しくて咀嚼が止まらなかった。



「美味しい!! ふわふわなのに、香ばしくて!!」

「粉も片栗粉ちょっとだから。タンパク質多めの豆腐でヘルシーっしょ?」

「そうか。タンパク質。肉以外に豆からもだっけ?」

「毎回だとしんどいから、そこは卵とか他からもだけどね?」

「スープにも肉あるから、今日は大丈夫け?」

「そだね。あんまり気を付け過ぎてもストレスになるし」

「そっか」



 コンビニ飯とかインスタント食品に偏っていた万智子の生活が、一変なくらいに変わった今では考えられないくらいに健康食。一枚でお腹が膨れるかと思ったが、豆腐のふわふわ感が意外に腹に貯まるので問題なかった。


 あと、スープもたっぷり盛り付けられていたお陰もあったからだろう。


 掃除もして、簡単だけど自炊もして、趣味延長線からの活動もして。最後にまたこんな美味しいご飯を食べれて。幸せそのものじゃないかと言えるくらいに、充実した生活。まさに、リア充。


 スープのおかわりは必要ないくらいに満たされたので、食器洗いをするまでまた忘れていた。


 このあとの、初夜前提かもしれないという、洗礼行為というもの。つまり、ふたりでのお風呂を。


 覚が湯沸かし器のボタンを押したので、『あ』と万智子が声をもらしたことで思い出したからだ。



「はいはい。覚悟してね~?」

「……きょ、きょう? もう、いきなり??」

「先に湯舟に浸かってていいから。せっかくファミリー物件に引っ越したんだし、湯舟広いから大丈夫だって」

「そ、だろうけど。え、え?」

「本気で俺の身体見たくないの? それか、マチちゃん見せたくないの?」

「……ぶにょぶにょ」

「ないない。大丈夫」



 ということで、押し切られた結果。


 それなりに鍛えている身体を見ることになり、初夜こそはなかったが寝るときは覚のベッドに引きずりこまれたのである。


 もちろん、緊張し過ぎでひーひー言っていたがいつのまにか寝扱けてしまっていた。

次回はまた明日〜

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