第84話 久しぶりに同人活動したい
連載作品のストックが出来たところで、急ぎのネームやプロット作成が少しだけゆるやかになった。
契約時の話数は、とりあえず十話。
うち、半分を半年と少しで書き上げることが出来たため、佐伯が言うには月一の連載にしてから伸び代を見ていきたいとのこと。
そのため、今後は覚の作品の反映を重視しつつ、連載継続を目指してより一層ブラッシュアップすることを目標として掲げることになった。
であれば、だが。
「むむむ。ここのイベントにページ数少なめなら、新刊間に合うかな?」
久しぶりに、同人活動をしたい意欲が湧いてきたのだ。
ドミノのアシスタントはまだ復帰の目処がついただけなので、連絡待ちではあるが。
その間に、出来ることをしたいと考えていたら……かなりご無沙汰になっている、同人活動をしたくなってきたのだ。
先日の結婚式では、パーティーも二次会でも大型オフ会のようになったので、ついついネタの宝庫となってしまっていた。……要は、燃焼不足気味なのである。
「合同誌で新婚ネタはやったでしょ~? だとしたら、イベント……お披露目? あ~~!! 描く!! 描きたい!! うん、やろう!!」
今日明日くらい、そこに熱中してもいいはずでは。
そう思うと、万智子はペンを手にしていた。プロットはざっくり、ネームは少し雑に。
そのやりくりを商業化の手順でうまく学んだお陰か、サクサクと描き進めることが出来てしまった。ページ数だけはきちんと守り、修正箇所をいくつか落とし込んで……覚が帰宅する頃には。
全ページのネームが完成するくらい、早い仕事が出来てしまったのだ。
「……ノリノリになったわけ、か」
「……ご飯、はちゃんと忘れてなかった……よ?」
「いや、いいけど。好きなこと出来る余裕が出てきたのはいいけど? ただ、体疲れてない?」
「ちょい、筋肉痛には……っ」
久々に廊下で土下座を披露するくらいに、反省の意を表現してみた。悪いことをしていたわけではないのだが、今日に限って炊飯器以外の家事をなにもしていなかった。ファミリーマンションなので、木造建築であれど騒音は気にするタイプだからコードレスの掃除機もかけにくい。
という理由付けはいいとして、家のことを疎かにしがちなところを反省したのだった。
「まあまあ。今日の失敗は明日に生かそうよ。明日はちょっとのんびりついでに家事するとか」
「うぅ……さとくんが優しい」
「じゃあ。俺との夜も解禁していいってことかな?」
「ぴ!?」
「……二年以上いっしょにいるのに。まだ慣れない?」
「……慣れない」
「TL描くときはあんなに活き活きしてんのに?」
「……それとこれは、別です」
「別かあ……」
未経験者でなくなっても、慣れないものはいつまで経っても慣れない。
個人差もあるし、万智子は底辺並みに弱い方だ。なのに、同人活動では有り余るくらいに熱量を発揮しているのは……他人から見れば、いかがなものかと思われるだろう。
「……今日の、ご飯。どうする?」
しかしながら、体力の限界には来ていたため、空腹なのは当たり前になっていた。
「そうだね? 冷え込んできたし、鍋焼きうどんにする? 氷見うどんは今ストックないから、普通のゆでうどん買ってきた」
「……もしかして、きしめん?」
「お、当たり。わかった?」
「さとくんが、甘やかしてくれるからでしょ?」
「そうです。俺はマチちゃん限定で甘やかし上手なのだ~」
「……じゃあ。味噌煮込みがいいな」
「赤みそもいっしょに買ったとも~」
「もう、本当に甘やかしすぎ~」
それなら、少しくらいは……と意識が傾きそうだが。
明日の余裕を奪われるのは本望じゃないので、添い寝だけでその日は終わったのだった。
次回はまた明日〜




