第81話 皆の前で祝福される
「「誓います」」
参列者の前で、主に覚が文面を考えた『誓いの言葉』を読み上げて。
最後に、誓うと宣誓してから軽くキスをすることで、いわゆる『人前式』は一旦終わり。
あとは指輪の交換をしてから結婚証明書にサインをする。この証明書には、参列者全員にサインをもらっているため……その仕上げに、万智子たちもサインをするのだ。
「これにて、おふたりは改めて夫婦となりました」
参列者のひとり、ドミノ・パンに司会進行を頼んだので、本当にラフなスタイルの結婚式が進んでいく。
宣言が終わってからは、飲み物を軽く口付けた程度で、あとは参列者たちとの挨拶回りばかり。
前もって、レストランの食事は食べていたが。そろそろ空腹で腹の音が鳴りそうで怖かったが。
今日は彼らの前で、『改めて夫婦』になったことを宣言するための儀式だったのだ。もちろん、二次会もあるので、会場はここだからそのときに食べればいいだろうと……万智子は覚とひとりひとりに挨拶を交わすのだった。
「はぁい? さーやはちょっとお化粧直し行こうか?」
途中、参加していた千郷にひっぱられ、端の端に行くと本当に軽くメイク直しをしてから卓のひとつに案内された。どれもこれも美味しい料理のピンチョスばかりだ。
「……みぃたん?」
「二次会まで、結構時間あるでしょ? それまでお腹になにも詰めないのはしんどいんだから」
「あ、りがと」
覚も覚で誰かに似た様な待遇を受けているのか。千郷の周りには女性の相互フォロワーとかで知り合った面子ばかりだったため、少し気楽にはなれた。
「さーやちゃん、きれい~~」
「白じゃなくて、あえてミントグリーンのマーメイドドレスなのも、いいね! そんなぼっきゅんぼん!を隠していたとは!!」
「もこちゃん、言い方……」
合同誌メンバーの皆も来てくれたので、本当に今の内だと……軽く挨拶をしてから食べることにした。試食の時に食べた時も思ったが、お肉はジューシーで魚料理はふんわりなのが冷めていても美味しかった。
「そんながっつかなくても、料理は逃げないわよ。つか、二次会でもたっぷり食べれるように企画してるんだから、多少は空けといて」
「……そ、なの?」
サンドイッチをひとつ食べ終えてから聞けば、千郷はとてもいい笑顔になった。
「兄さんの腕前はともかくとして。プロが厳選した食材で作った料理よ!? ここをいっしょに予約したんだから、参加費ちょい搔き集めて頑張ったわ!!」
「余興もいろいろ考えたから、楽しみにしててねぇ?」
「「ふふふ」」
千郷ともこもこるんば、組み合わせてよかったと思うふたりが主催する二次会をそれなりに楽しもうと思ったのだが。
個室に引っ込んで、それ用の動きやすい淡い紫のカクテルドレスに着替えたあと。
同じように、グレーのタキシードに着替えた覚と再入場したら……いきなり、プロジェクターが動いて『メモリアルビデオ』とやらが再生されたのだった。
「新郎新婦の出会い。それは、現代では普通になってきた『SNS』の相互フォロワーからでした!!」
テンションの高い、ドミノ・パンの司会が始まったことで……ビデオはどんどん進んでいく。おそらく、構成とかは千郷がドミノに打ち明け。そのドミノが、商業連載の合間に漫画を描いたという仕組み。
写真は万智子たちの場合、そこまで撮っていなかったし、貸し出すことも聞かれなかったから……それくらい、創作畑の人間にはお手者もだと、わざわざ制作してくれたのか。
嬉しいが、少しだけ気恥しい気持ちにもなる。
「……祝福されるのって、こんな恥ずかしかったっけ?」
覚も同じように受け止めたのか、照れ笑いしていた。
席に着いてからは、参加者のほとんどが披露宴に参加していたため、ふたりにはのんびりと食事をさせてくれた。
それと、千郷たちのサプライズは余興だけでなく、『食事』にも。
女性陣が手分けして作ったらしい、巨大なホールケーキが登場したときにはふたりではしゃいでしまったのだった。
次回はまた明日〜




