第75話 みぃたんの計画としては
相原千郷、二十六歳。
育休中のOLであるため、一児の母親が普段の顔。
しかし、SNSではとある集まりの中ではそれなりに知名度の高いアカウントを運営している。
『ミルキーウェブ』という本名にかすりもしない名前で活動しているが、それは今のSNSを運用している大半の人間が同じことをしていて当然。プライバシー侵害もだが、乗っ取りもあるくらいのネットワーク事情に巻き込まれたくないからだ。それでも、完璧とは言い切れないことはあるが。
それはさておき、千郷の目の前にあるのは一通の招待状。
SNSでもリアルでも『親友』だと自負している、友人の落合万智子の結婚式への招待状だ。
入籍自体は二年前に済ませているが、予算などの都合で式は時間がかかっていた。それがようやく叶うというのだから喜ばしいことである。
しかし、普通の式や披露宴ではなくて、『レストランウェディング』。カジュアルなプランを計画するあたり、夫の覚のことも友人としては性格を知っているので納得は出来たが。
「う~~ん。カジュアルなのはいいけど……二次会とか、どーしよ」
式、披露宴となれば、次は宴会でもよくある『二次会』。
ふたりとも、友人はそこまで多くないが、SNS上で知り合った面子とのオフ会はそれなりに参加している。万智子に関しては、同人誌即売会でのアフターから繋がりを得た面子もいるくらいだ。
千郷も久しぶりにそういった集まりに参加したいくらいだし、ここはひとつひと肌脱ぐかと、スマホを手にDMを動かすことにした。
『は~い?』
『みぃたん、お久~?』
『どったどった? なにかあったん?』
万智子と覚、共通のフォロワーをグループDMに招待して、話し合うことにした。その中には、最近千郷も知り合えた『もこもこるんば』もいたが。
『むむ。もしかして、さーやちゃんの話?』
と、勘のいい彼女のことだから、同じように招待状がいったのかもしれない。万智子は彼女主催の合同誌に参加したので、それなりに世話になったからだろう。
『YES。話がはやくて助かるわ。あの子とがっきー兄さんの『結婚式』が決まったのよ』
『『『『おお!?』』』』
『ってことは、このグループメインで誰かが二次会幹事を指名するってとこかしら?』
『そ。言い出しっぺの私がしたいところだけど。今育休中だから、サポートにはなれても主力は難しいのよ……』
『あ、そっか。姐さんち、赤ちゃんいるもんね?』
『当日はなんとかなるにしても。メインの幹事は無理かぁ』
『じゃ、私やるよ。以前旦那さんのお弁当もごちそうになったし!』
『サンクス、もこちゃん!!』
と、もこもこるんばが言い出せば、次は自分がここ~、などと役割分担がすぐに決まり。
千郷も千郷で、出来ることを提案すればそれが採用されたので……あとは、万智子に連絡するだけ。
それを伝えるのは千郷はもこもこにも譲りたくなかったからだ。
『へ? 二次会??』
だいたい通話しても大丈夫そうな時間にかければ、万智子から予想通りの反応が返ってきた。
「そうよ~? うちうちだけの、二次会。要は、大掛かりなオフ会ね?」
『そんな……いいの?』
「ドレスもカクテルドレスのレンタル料金かかるだけにすれば、さーやの負担も少なくないんじゃない? それは兄さんとかが出すかもだけど」
『いやいや。さとくんには色々出してもらっているから、そこは自分で出すよ』
「そう? ところで、兄さん今いる?」
『まだかな。RINEで連絡も来てないし』
「そ。直接言ってあげたかったけど。……ちゃんと、奥さん連れてきてよねって」
『二次会とか滅多に参加しないから、楽しみ~』
「期待してて~?」
普段の育児ももちろん大事だが、交友関係も同じくらい大事にしたい。
年下でも、千郷にとっては大親友と言って過言じゃない万智子の晴れ舞台だ。
二次会でも、それなりに楽しめるようにして……日頃の疲れを、少しでも晴らしてあげたい。
覚にもそれなりに世話になっているのだから、紆余曲折はあったものの、結婚できたふたりの生活を潤してやりたいのだ。
普段は主婦であれ、イベント好きなのは千郷もほかの人と変わらないくらい一緒だ。
次回はまた明日〜




